『裏』。
そして満ちよ。満たされよ。
でも、自分の
僕の父は『空っぽ』だ。
無敵と言えば聞こえがいい。
無敗と言っても、聞こえがいい。
だが、僕は父が
世間から見た父は成功者中の成功者だろう。
地にあったモノが星に届いたのと変わらないほどの出世。
だが、父にとってそれは、砂上の楼閣だったのだ。
砂の上に築いた城はいずれ落ちる。
父の場合は、レールの上を歩くように至るべき場所に至った。
ただそれだけのことなのだ。
父は、────壊れている。
心が欠けてしまったかのように、いつもなにかを求めていて。
僕たち子どもの中に、その"欠け"を見出そうとしている。
「……だから、父さんは僕たちのことを気にかけるのか」
僕は一人ごちる。
自分の空虚を埋めてくれるものを求めているからこそ、家族である僕らを大切にしようとする。
……だけど、それこそが逆に僕らを苦しめていることには気がついていない。
それが…我らの父なのだ。
哀れで、滑稽で、それでも変わらず。
愛おしくて仕方がない我が父よ。
あなたの空虚は、一体いつ埋まるのだろうか?
いつか…、僕らの
今はわからないが、でも、きっといつか───。
*
空虚に、ずっと気がつかないフリをしている。
あのころでは夢想もできなかったほどの幸せな生活。
自分を慕い、自分の才能を遺憾無く引き継いだ子どもたちに囲まれる生活。
自分が歩んできた人生と比べればあまりにも平凡で、穏やかすぎる日々。
だけど、そんな日常が自分にとってはかけがえのないものだった。
しかし、自分は知っている。
自分が築き上げてきたモノなんて所詮はまやかしにすぎないということを。
本当に欲しいものは手に入らないということを、知っている。
だからこそ、自分は…。
「……、」
元気よく走る子どもたちを眺めれば。
まだ世界の厳しさを何も知らない無垢な瞳たちが光り輝いているように見えた。
なんて。
なんて、眩しい世界。
なのに、どうして。
───僕は、羨んでいるのだろう?
ふと、疑問を抱く。
そして、思い至った。
あの子たちには未来がある。
輝かしい未来が。
可能性に満ちた明日が。
「あぁ……」
そうだ。
なんでこんな簡単なことに気がつかなかったんだろう。
……僕は、過去に縋っているだけだ。
手に入れられなかった"いつか"を懐かしんで。
もう戻らない"あの時"に焦がれているだけなんだ。
だから、僕は求め続ける。
自分が失ったものを求めて。
自分の居場所を求めて。
そうしてまた今日も、愚かにも探し続けるのだ。
いつか、必ず取り戻せると信じて。
手に入れられるのだと、信じて。
信じるしか、なくて。
「あああ、ああああ、あ゛あ゛ぁ……」
自分よりもつえ〜ヤツが欲しいとか、そういった諸々が積み重なった結果がコレなんだ。
僕:
シルバーバレット。満たされたい。
外側は満たされていてもその中身は満たされていない。
いちおう人並みに妬んだり嫉んだりもする。けど、いびつ。
僕の子たち:
満たしてあげたい。
そして満たしたら、僕を、私を。
───見て、くれる?