さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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そして目は右往左往。



知らないですよそんなウマ!(しどろもどろ)

今日はシロガネ家主催の幼駒限定走り方教室だ。

あの"シロガネ"主催、ということで集まった者は多い。

家の敷地内にある模擬レース場に集まった子どもたちは総勢で21名。

そのすべてが親の見守りのもと、今は思い思いに遊んだり走ったりしている。

さてと、そろそろ良いだろうか?

そう思った僕は子どもたちと先生役であるシロガネ家の数名たちで自己紹介を始める。

 

「はい、上手に自己紹介できたね」

「じゃあ次のお友だちは〜」

「はい、シルっ…シロガネフバツです!」

 

聞き覚えのある声に先生役のシロガネ家全員がバッと顔を向ける。

するとそこにいたのは引き攣った顔でダラダラ汗を流す…。

 

「父さん?」

「シっ、シロガネフバツですっ!」

「父さんですよね?」

「違うよぉ〜、そんなウマ知らないですよ〜(棒)」

 

…うん、やっぱり父さんですね。

しかしバレたくないみたいですし、それに此処に父がいるなんてバレたらめんど…ンンっ、騒ぎになるのでここは知らんぷりしておきましょう。

 

「では、教室を始めましょうか」

 

 

走り方教室はつつがなく進み、最後にみんなで競争をして解散となって。

やはりというべきか、僕たちの予想通り父さんの走る姿(たいぶ、かなーり、速度超低速)を見た子どもたちは目を輝かせていた。

 

「すごーい!」

「はやーい!!」

「はは、ありがとう」

「ねぇ、あの子…」

「まさかぁ…」

 

聴覚のいいウマミミがうっすらと勘のいい言葉を拾ってきますが、とりあえずスルーしておこうと思います。

…父さんの見た目も、現役時代とはだいぶ違ったものになっていますしね。

まぁそんな感じで楽しく、少し()刺激的な一日を過ごしたわけなんですけど。

それからしばらく経ったある日のこと。

 

「兄さ〜ん」

「どうしました?」

「SNSがすごいことになってる〜」

「…はァ?」

 

ネット方面でいろいろと活動している弟妹(きょうだい)のひとりから見せられたスマホの画面。

そこには、

 

【シロガネ家主催の走り方教室に行ったらすごい子がいた!】

 

という投稿を元に〔なんなんだこの子!? めっちゃ速いんだけど!!〕 〔こんなの反則だよ〕 〔この子いったい何者?〕 〔もしかしてシロガネの子?なら納得〕などと。

 

「どうする〜兄さん」

「…それが父とバレないように(いい感じに)軌道修正しといてください」

「はいは〜い」

 

そう言って、その日は終わった…はずだったのだが。

 

「…父さん?」

「ハッ!ち、違うよハイセイコ!これは服をタンスにしまおうとしていただけで決してまた今度の走り方教室に忍び込もうとしていたワケじゃ…」

「全部言ってるじゃないですか」





"シロガネフバツ":
一体どこの誰なんだ…?漢字に直すと"銀不抜"。
走り方がキレイで一緒に走る子たちみんなにアドバイスをくれた。
たぶん結構な比率でこの走り方教室にいた子は脳を焼かれていると思われ…。

先生役のシロガネ's:
何やってんだあのウマ…。
SNSにあげられてんじゃねぇかあのウマ…(必死に証拠隠滅の音)。
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