さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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生存√銀弾にとある正妻さんがいる軸の話。



ずうっといっしょ!

その人と出会ったのは、兄さんのレースを観戦しに来た折だった。

 

「…走りたい?」

 

黒いフードを深く被ったその人は、一目見ただけで私が心の奥に押し殺していた本心を見抜いて、端的に、的確に突き刺してきた。

 

「何事もやってみなきゃ始まらない。し、やる前から諦めてちゃあどうにもならないよ」

 

周りには一般人に擬態したSPがいたはずなのに自然体で近づいてきたその人はそれだけを告げて。

5分にも満たないたった一瞬で、霞のように消えていた。

でも、

 

「走りたいなら、日本においで。……なんか、美味しいラーメン食べたくなってきちゃった」

 

 

探していた貴方とは、すぐに会えた。

 

「こんにちは、お嬢さん」

 

貴方は、相談員として学園にいた。

でも、時々入学時に出会った役職持ちのURAの職員からこっそりと、しかし丁寧に話をされているのを見ると、貴方の地位はとても此処にいるには似つかわしくないものらしい。

 

「今日はいい天気ですね」

 

顔の半分を髪で隠した貴方は、私を見ると必ず挨拶してくれた。

 

「こんにちは!」

 

私は、貴方に会えるのが嬉しくて、いつも笑顔で挨拶をして。

 

「こんにちは、元気そうでなにより」

 

貴方と話せる時間が楽しみで仕方なかった。

貴方がカウンセリングルームを開ける日はいつも訪れたし、そこからカウンセリングルームに居座っても常連だから仕方がない…ぐらいには収まった。

そうしてそれとなく距離を詰めていって(それには表向きの私の身分が異国の名家の留学生というのもあったが)、変装しつつではあるが二人で遊びに行く仲になった。

書類上は引率の大人と学生であったけれど、あの人はその事実に気が付かなかったから。

 

「あげる」

 

そんな関係を続けて、貴方がくれたのは貴方がセーフハウスとして使っていた部屋の鍵。

私の素性は知らないまでも優秀なアスリートとして時たまパパラッチに追われていることを知っての対処。

 

「好きに使ってくれていいよ」

 

貴方は気づかない。

いつしか学園のカウンセリングルームも飛び越えて、セーフハウスの中で一緒に過ごすようになったのに。

学園に書類を出さず、一緒に遊びに行くようになったのに。

私がセーフハウスに泊まることにも、苦言がなくなったのに。

 

「好きよ」

 

気づいている、くせに。

 

「いつまで、見て見ぬふりするの?」

 

見下ろす貴方は気まずそうに目を逸らした。

きっとやろうと思えば振り払えるのに大人しいままなのには自惚れてもいいのだろうか。

 

「好きよ」

「…ダメだよ」

 

頑固に、貴方は言う。

ならば、

 

「貴方が、火をつけたくせに」

「、」

 

だから、

 

「わたしを、」

 

───ファインモーション(わたし)を、こんなにした責任取ってよ。

 

「ねぇ、───シルバーバレット(あなた)





【気ままなお姫様】:
ファインモーション。
つよつよお姫様。
この世界線では初年度からずっと銀弾がお相手でG1馬を数多く排出した名牝。
数多くいる銀弾産駒の中で全きょうだいG1制覇しているのは彼女の産駒のみ(他は全きょうだいがいてもG1制覇しているのは一頭だけで後はよくてGⅡ・GⅢ勝ち止まり)&繁殖生活の最後まで銀弾が相手だったのは彼女だけなので正妻枠に。
…というか彼女が銀弾以外を嫌がったというのもあるんですが。
んで産駒は基本海外で活躍していて、とりあえず愛国三冠は牡牝両方で制覇してる感じ+見た目は牡牝共にだいたい【気ままなお姫様】似。

たぶんウマ娘で日本に来たキッカケに97JCを観戦しに来た時に銀弾に「日本においで」されたからってのが描写されるし(その時は銀弾実装未確定なので地の文だけ)、銀弾が実装されたらキャラの中では唯一「バレット」って呼び捨てしてる。
…他はみんな(トレーナー除く)「シルバー」呼びなのに。
これが正妻の余裕…?
なので普通なら【皇帝】やらCBにまんまと連れ去られる銀弾をシレッと自分の傍に置いてるんだ。
銀弾関係になると対抗意識というか独占欲出すお姫様…良い…よくない?
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