さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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それが懸命。



それ、過大評価じゃないか?

自分が『バケモノ』だと、どことなく自覚したと思えば、自分の周りも大なり小なり『バケモノ』ばかりだった。

まぁ競走という名の勝負の世界に身を置く我らである、本能的なものがあれやそれやして理性よかそちらの方に比率が寄ってしまっているのかもしれないが。

 

「…いや、これはダメだろう」

「なにが?」

 

思わずボヤけば、自分を引き倒す相手がキョトリと可愛らしく首を傾げた。

どうにも理性よりも本能の方に傾いてしまったために面倒なこととなっている。

呆気なく引き倒された自分を見つめるその目は瞳孔が開いて世間にお見せできないというべき勢いであるし、異様に興奮にギラついて、ついでに舌なめずりまでしている。

 

「だってさぁ」

「うん?」

「キミと一緒なんだよ? そんなの興奮するに決まってるじゃないか!」

「……そうだな、キミはそういうやつだった」

 

過大評価乙ですと内心呟きながらもスルスルと撫でられる頬やら首筋に「いつ終わるかな」とぼんやり思考する。

 

「キミはさぁ、なんでそう淡白なの?」

「いや、淡白とかじゃなくて」

「だってこんな状況になってるのに。普通もっとこう……あるでしょ? ドキドキしたりとか」

「んー……」

 

正直、そこまでドキドキしていないというか、なんというか。

いや、もちろん鼓動が速くなったりはしてるが、それって警鐘がガンガンガンガン!!ってうるさく鳴り響いているのと同じだろうし。

 

「はァ…」

「おっ」

「…あからさまに、嬉しそうな顔しないでくれる?」

「あ、ごめんごめん」

 

ぼうっと見つめたままでいると、呆れた顔をして相手が退いた。

あーあー、背中痛いし掴まれてた肩も痛い。

まったくもって容赦がない。

 

「キミはさ、もっと危機感とか持った方がいいよ」

「危機感って……」

「うん。さっきまで押し倒されてたんだよ? ちょっと前までならそれが次から次へだったし、今でも隙あらば…」

「……うーん……」

 

いや、まぁ確かにそうかもしれないけど。

でもなんかこう……危機感というかそういうのが湧いてこないというか。

 

「みんなね、キミが好きなんだよ」

「知ってるけど」

「だからこうやって…自覚持ってもらおうとしてるのにさぁ!」

「情緒不安定すぎるだろ」

「キミのせいだよ!!」

「へいへい」

 

ポリポリと頭を搔く。

いろんな相手に会うたび会うたび言われることなので「へー、そっかー」としかもう思えない。

そうは言ってもじゃれ合いみたいなもんでしょ、この年代特有の。

 

(…とか言ったら、火に油注ぐだろうからやめとこっと)





僕:
シルバーバレット。
自分もバケモノみんなもバケモノ。
ネームド勢はみんな大なり小なり似たようなものだと思っている。
また大勢から狙われているがどれも本気にしてないし、冗談だと思っているニブチン。
今日ものほほん。
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