そうは言っても───にんげんじゃないくせに。
何度季節が移り変わっても僕という存在は汚いままで。
まるでヘドロのように淀むソレが心の中に巣食っていくのをただ感じていた。
透明なんて遠にいえないココロ。
体に巡る血もこうなってしまえば本当に赤色なのか。
『憧れ』はあの日のように、カミサマみたいで変わりはしないけれど。
そんなだから、周りの他人を『届かないんだろうな』って、値踏みしてしまう。
「……」
生まれて初めて欲したのはあの子の色々な表情。
悔しがったり、怒ったり、果ては──憎んだり?
「人間なんて呼べないクセに」
我ながら人間の皮を被ったバケモノだと自嘲するが。
それでも魅せられてしまったのなら仕方ない。
『憧れ』の時だってそうだ。
一度、認識してしまえば未来永劫逃れられないのだから。
「……ホント、どうしよう」
思いがけずして手に入れてしまったソレは、余りにも手に余る感情で。
『友だち』と呼ぶには、呼ぶに呼べない、比べ物にもならないのだと今なら解るけれど、その時はそんな当たり前に気付く事は無くて。
だから僕はあの子──グローリーゴアに、あの頃、どう接していいのか解らないでいた。
*
ずっと走っていた。
情緒なんてないまま、友だちもいないまま。
走っていればよかった。
それだけで、よかった。
それだけで僕の人生とやらは満たされていたし、それ以上なんてものは必要なかった。
だから、『それ』が何なのかも解らずにいたし、解ろうともしなかった。
「……」
ただ、漠然とした不安だけがずっと付き纏っていたのは覚えている。
そんな時だ。
あの子と出逢ったのは。
あの子は僕とは違う生き物だったけれど、けれどやっぱり同じ人間で。
僕は初めて他人を羨んだのだ。
───あの子に、何の気兼ねなく話せる
「いいなあ」
ぽそりと呟いた言の葉は、いやに子どもじみていた。
このぐるぐると胃の中を這いずり回る気持ち悪さを、他人は『嫉妬』と呼ぶのだろうか。
僕はあの子になりたいと思った。
けれど、やっぱり僕とかいう存在はどう足掻いても人間の皮を被ったバケモノでしかなく。
故に、その日僕は生まれて初めて『嫉妬』を覚えたのだった。
「…、」
僕だけのモノ、と言うよりかは。
あの子の全部が欲しいの、延長線だ。
だからコレを『愛』なんて呼べはしない。
「じゃあ、なんて呼ぶの?」
誰も答えない。
答えても自問自答だ、確固たる答えなぞあるわけない。
あの子が他人に笑いかけるたびに自身をジクジクと苛み続ける鈍い痛み。
(あぁ、)
みっともなくて、
「気づかれたく、ないなぁ…」
【戦う者】:
サンデースクラッパ。
自分をバケモノだと思っている。
【栄光を往く者】と出会ってはじめて嫉妬とか独占欲とか覚えたフシがある。
けど自分ってバケモノだよねと思っているため、【栄光を往く者】に気兼ねなく近づける人々を「いいないいなにんげんっていいな」と言わんばかりに見つめている。
…何も気づいていないんだな、コイツ。