さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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まぁラブラブなんですけど。



見初めたのはどっち?

実質父さんって、人外に婿入りしたみたいなものじゃないか?

ふと、そんな与太話を考えた。

 

「…んんと、」

 

誰からも恐れられる荒神とかそういった類の女神に惚れて、嫉妬深ければ執着深い彼女に「今なら逃がしてやれる」って言われても「それでも構わない」って言い切って、本当に逃げずに婿入りして幸せになりました……みたいな。

 

「いや、ないかな……」

 

荒神とか女神とかは置いておいても、父さんのあれは一旦前置きされても知ったことかとばかりに突っ走るタイプだ。

普段は父さんの方がリードを握っているかに見せかけて、実のところは母であるリリィの方がリードを握っている。

そうしなければ自分の伴侶を愛しに愛している父さんがところ構わず…噛みつきはしないまでも、威嚇してしまうから。

リリィはそんな父さんを、まるで犬か猫のように躾け、可愛がっている節がある。

 

「父さん、リリィに甘いから」

 

元より倹約的な人ではあるが、父さんという人は自らの伴侶に頼まれた、そのひとつの理由だけで何でも買い与えてしまう。

リリィは服等にまったくもって興味がないため、欲しがるのはもっぱら料理に関するものなのだが一般家庭に置いあるにしては多分ほぼないだろう代物が家にはゴロゴロしている(し、ちゃんと使われてもいる)。

 

「まぁ、リリィが嬉しいならそれでいいんだけど……」

 

父に甘い母を見て育ったせいか、僕ら子どもたちも大概彼女に甘い自覚はある。

とはいえ、父さんの「リリィは俺の!」なあの態度も今でこそ微笑ましく思えるけれど、昔は結構ハラハラしていた。

だってその「俺の!」がリリィの血を引いた僕らにまで適用されてしまうのである。

あれはスゴかった。

「お前らはリリィそっくりに可愛くて美人だから」とビッッッタリ傍にいるのには流石に…。

しかもリリィと違って子どもの僕らはあの時分、自分の身を自分で守れない年齢であったものだから、父さんの「俺の!」が発動するたびに僕らは半泣きで母さんに助けを求めた。

僕らの両親は美男美女であると近所でも評判になるくらいには見目も整っていたし、仲も良かったから……まぁ、そのせいもあってか僕らが産まれた時に父さんはそれはそれは喜んだらしい。

それはもう盛大に喜んだそうだが…。

 

「今でも心配性なんだよね」

 

少し遠くから聞こえてくる父さんの「どこに行ってくるんだ」「誰と行ってくるんだ」「何時に帰るんだ」の3点セットを聞きながらひとり苦笑する。

 

「もう、そんな心配される年齢じゃないんだけどねぇ。携帯っていう、文明の利器もあるのに…」





【電撃の差し脚】:
ヒカルイマイ。
とくせい:いかく。
いちばん愛しているのは妻の【白百合】だけど、その子どもたちも【白百合】ほどには及ばないがめちゃくちゃに愛しているパパ。
子どもたちみんなを「【白百合】に似た…」と思っている(なおその逆もまた然り)。
ちな【白百合】に関しては忠犬であり狂犬である模様。
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