抱えて抱えて。
シルバアウトレイジというウマ娘は、見てくれこそ不良然としているが、その実どこに出しても恥ずかしくない優等生である。
「は?俺が優等生?ンなワケねぇだろ」
…と、本人はいうが。
授業も真面目に受けるし、定期テストも基本的には学年トップ5に入るし、トレーニングもよっぽどのことがなければサボらない。
困っている人を放っておけないからそれとなく手助けするし。
どんな戦績の相手でも先輩なら敬うし、同輩・後輩には自分の成績をカサに威張ったりしない。
たまに口が悪い時もあるが、それはまぁ個性の範疇だろう。
そんなシルバアウトレイジに「優等生」という評価は相応しいと思うのだけれど……本人が言うなら違うのだろう。
「優等生って言うんならあのよく2000で勝負挑んでくる先輩とか、俺が可愛がってる後輩の方がよっぽど…」
……いや、それもどうなんだろう。
「ま、とにかく優等生はああいうのだよ」
これで話は終わりだと言わんばかりにシルバアウトレイジはヒラヒラと手を振って退場する。が、
『ぁ、アウトさんっ!』
「あ?…先輩じゃねぇか。いきなりどうした?」
『アウトさんのおかげでこの前の模擬レース、勝てました!』
「…あぁ。見てた、見事だった。……で、何だよ『アウトさん』って」
『そりゃ、今まで鳴かず飛ばずだったのをここまでしてくれたんですよ!?誰にも見向きされなかった私を…!』
「元からアンタには才能があったんだよ、先輩。俺はそのキッカケを作っただけであって…」
颯爽と去ろうとしたところを捕まり、気まずそうにするシルバアウトレイジ。
元来礼儀を重んじる彼女のこと、本来自分が敬語を使うべき相手に敬われている現状に居心地の悪さを感じているのだろう。
「だから、その……『アウトさん』ってのやめてくれないっすか」
『嫌です!私はもう決めたんです!』
「……はぁ」
結局、シルバアウトレイジは先輩から解放されるまで1時間ほどかかったそうな。
*
「私はアナタが誇らしいです、アウト」
「ドーモ、ジャーニーサン」
遠征支援委員会の部屋にて。
シルバアウトレイジは委員長のドリームジャニーの手ずから世話をされていた。
茶を注がれ、きっと、彼女の妹相手でなければ出されないだろうほどの高価な茶菓子を出され、それを食す。
「アナタの努力は実を結びました……本当に、素晴らしいことです」
「そりゃドーモ。でもよ、まだ始まったばかりだろ?」
シルバアウトレイジがデビューしたのはココ最近のこと。
それまではずっと、今にも絶望し、学園を去ろうとする生徒たちを引き止めては
「アナタがアナタ自身の道を歩むのが…本当に、」
「……」
身を固めろ、と言われてしまったのだ───生徒会直々に。
シルバアウトレイジの行っている活動は確かに善行であるが…。
「…俺が拾わなけりゃ、誰がアイツらを、拾うって言うんだ」
そうボヤくシルバアウトレイジを、ドリームジャニーは静かに見つめ…。
「本当に…哀れなほどに、愚かなほどに、…やさしい子」
【銀色の激情】:
シルバアウトレイジ。
零れ落ちそうな誰かを受け止めては救い続けている。
言うなればシリウスの取り巻きみたいな(けど激情が関わった場合、全員事態が好転する)。
そのため取り巻きの脳を焼きまくっており、オルフェさんとはまた別種の熱狂的シンパがいる。
なまじ受け止めた全てを救えてしまうが故に、その救済行為を一時抑制としてトレーナーと契約するようにと生徒会直々にお達しされる。
だってそりゃあ…ダービー獲って、門蹴破れる才覚持ちだから、ね?
それが潰されるなんて…ね?
【旅の果てを見た者】:
ドリームジャーニー。
妹のオルフェと、いやまたはそれ以上に【銀色の激情】のことを大切に思っている遠征支援委員会の委員長さん。
ちょっとぼんやり気味でダウナーな不思議ちゃんの仲良しな子()がいるとか。
…とはいえ、【銀色の激情】の才覚を知っているが故に、【銀色の激情】の熱狂的なシンパが【銀色の激情】に害を成すと感じた場合、もしかすると?