さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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一人勝ち?



想いは真摯に受け止める

その日、シロガネハイセイコの『夢』が叶った。

無敗の三冠ウマ娘になるという夢は成せなかったが、その『夢』は。

 

「…いいよ。付き合おうか」

 

ずっと、副官として支えてきた最愛の相手からの了承。

一瞬、「買い物に付き合って」などと間違えているのではなかろうかと疑ったが逸らした顔の、その頬が真っ赤に染まっているのを見て、シロガネハイセイコは歓喜に震えた。

 

「ほ、んとうに、いいんですか」

「…うん」

「ぼくで、ぼくで…いいんですか?」

「うん」

「だ、だって、リーダーなら」

「…キミがいい」

「」

「キミじゃなきゃ、イヤだよ。…言わせないで、こんなこと」

 

告げたのは自分のくせに、永年の想いを了承されたくせに、後ずさろうとしたところを捕まえられる。

…あぁ。

あぁ、ああ、アア、嗚呼…なんて!

 

「リーダー」

「…なに」

「幸せにします。僕──シロガネハイセイコの全身全霊をもって…で、えっと…その」

「ふふっ」

「あ、いや、あの」

「いいよ。……僕も、頑張るから」

「……はい!」

 

シロガネハイセイコの『夢』は叶った。

無敗の三冠ウマ娘になるという夢は成せなかったが、その『夢』は。

最愛の相手と結ばれたことで────。

 

 

相手は覚えていないことだが。

ずっと昔、シロガネハイセイコと彼女の『最愛』は実の親子であった。

『最愛』が親で、シロガネハイセイコが子ども。

いや、親と子というよりかは神とその信者か。

ともかく、在りし日のシロガネハイセイコは『最愛』に向けて情を持っていた、…執着を、向けていた。

ゆえに、

 

「リーダー」

「どうしたの?」

「ずっと、僕だけを見てて下さいね?」

「…うん。見てるよ」

「ホントですか?」

「ホントだよ。だってハイセイコ、僕がいなくなったらもうどうなるか分からないんだもん」

 

クスクスと、可愛らしく微笑まれる。

手に入れてしまったために、自分の想いが日々重くなっていっている自覚はあるがそれをマルっと受け止められては嬉しそうにされてしまっては何をどうすればいいやら。

 

「リーダー。…いいや、バレットさん」

「うん?」

「ずっと、僕だけを…」

「うん。愛するよ」

「……約束ですよ?」

「うん。約束」

 

ズブズブと、深みに嵌っていく。

あの頃、誰にも向けられることのなかったモノを一心に向けられている優越感。

まさかあそこまで上手く周りを出し抜けるとは思わなかったと夜な夜な思い出しては笑う日々。

 

「こんな僕のこと好きっていうのはキミぐらいだよ、ハイセイコ」

 

…嗚呼、本当に。

 

(あなたは僕を喜ばせるのが上手いなぁ)

 





僕:
シルバーバレット。
何も覚えてない。
けれど右腕である【銀色のアイドル】から向けられるアッツイ=視線にさすがに気付かざるを得ず…での真摯な告白で無事オトされちゃったウマ。
元から沼らせるのが上手いが共にある相手になっちゃったからには…ねぇ?
もう底なし沼ですよ!
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