さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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人気者()の父親とその子どもの話。
でも子どもも子どもで父親とはまた別種の魅力があるので…他人のこと言ってられませんよ!!



有名税?

実子であるシルバアウトレイジから見ても、その父──シルバープレアーは他人の目を惹いた。

いや、なにも絶世の…というワケではない。

儚さこそあるがそこは元バリバリのアスリート、ちゃんと見れば肉体的にもちゃんとしている。

…がしかし。

 

(相変わらず、人気だこって)

 

最愛の妻の尻に敷かれつつ、愛し愛される生活を享受しているシルバープレアーの元には今日も今日とて飽きもせず色々とした誘いが来ている。

やれ何らかのイベントのゲストだとか、やれ雑誌のインタビューだとか。

しかしシルバープレアーはそれらのオファーを悉く断っていた。

 

『私はもう、妻と子どもとの平穏な生活で日々忙しいので』

 

……などと殊勝なことを言いつつも、その実彼が頑なに断り続けている理由は別にある。

それは──。

 

(……またか)

 

シルバアウトレイジが見るところ、父であるシルバープレアーはどうにも特定人物からのアプローチに弱いところがあるのだ。

いや、弱いというより耐性がない?

自分からはグイグイいく癖して…と思わなくもなかったが、それはまぁ良い。

問題は、そのアプローチをしてくる相手だ。

 

(……また来てやがる)

 

シルバープレアーが断り続けているにも拘わらず、毎日のようにアタックを仕掛けてくる人物──それが誰なのかは言うまでもないだろう。

 

「……親父」

「ん?なんだい?」

「そろそろ出ねぇとアイツらグズるぞ」

「…ぁ、もうそんな時間かい?それじゃあ行ってくるよ」

 

そう言ってシルバープレアーは財布とスマホと鍵を手に取り玄関へと向かう。

そんな父の背中を見送りつつ、シルバアウトレイジはくるりと振り返る。

 

「いくらアンタでも、他人の親父にあんま粉かけないでくれませんかねぇ?」

 

 

シルバープレアーは、自分にはあまり似なかったが可愛い我が子─シルバアウトレイジに幼い日より言い含めていたことがあった。

 

『たとえパパの知り合いでも着いていっちゃダメだよ』

 

かつての知り合いを疑うわけではないが。

現役期間が長かったシルバープレアーには知り合いが多い分、『知り合いを名乗る人物』もいて。

そしてそういう輩は往々にして、シルバープレアーの現在(いま)を暴こうとする。

それだけならまだしも、『知り合いだから』と信頼につけ込んで、あわよくば……と企む輩もいるのだ。

だからシルバープレアーはシルバアウトレイジに言い聞かせた。

『知らない人には着いていっちゃダメだよ』と。

幼い日の我が子が素直に頷いたのを見届けて、シルバープレアーは息を吐く。

 

(でもあの子、口は悪いけど素直ないい子だからなぁ…)





【銀色の激情】:
シルバアウトレイジ。
家に来るのはいいけど他人の父親にちょっかい出すな!の気持ち。
今日も元気なファミリーコンプレックス。

【銀の祈り】:
シルバープレアー。
自分が有名なことを知っており、また人気なことも知っているウマ。
なので自分の知り合いを名乗る人が現れても簡単に信用しちゃダメだよと言い聞かせている。
だが自分に向けられる感情に対しては…?
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