さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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母ホワイトリリィに続き、何だァこの名牝はァ…(シルバフォーチュンを見ながら)。



【演劇的ヒーロー】のはじまり

今となっては遠い昔のことであるが、幼き日の俺はひどく"ソコ"に近い子どもであった。

ひとたび風に吹かれれば風邪をこじらせ、治ってもまたぶり返す。

何度も何度も何度も。

繰り返しては、ついには多くの医者に匙を投げられ。

それでも家族が必死に看病してくれるのを、ボヤけた視界で眺めていた。

 

そんなある日、

 

『…、』

 

ここは?

気づけば知らない場所にいた。

上も下も左右もよく分からない世界。

だが、そんな場所であるというのに恐怖というのは、とんと無く。

逆に「こっちにいけばいいのか?」なんて無意識に歩を進めようとして。

瞬間、

 

『ちょーっと待ったァ!!!?』

『うええええええ!?!?!?』

 

横をとんでもない風が通り、キキーッ!と急ブレーキで通せんぼう。

そしてばっ、と手を広げたそのヒトが俺に言った。

 

『キミがいくのはこっちじゃないよ!?!?』

『えっ、』

『は〜…。あぶね〜、なんでこんな底にいるんだ…』

 

でも、そんなことを言われても自分はいかなくちゃいけない、いいや駄目だと押し問答をし。

なら横を通り抜けていってやる、と思ってもすぐに追いつかれて引っ捕らえられ。

 

『道案内してあげるから!帰るよ!』

『え〜…』

『え〜、じゃない!!』

 

そういうわけで、引っ捕らえられた俺はそのヒトと手を繋ぎ帰ることとなった。

その途中、喋ろうかと思ったりもしたがそのヒトの雰囲気(プレッシャー)からして口を開くのもはばかられた結果、口を閉じ。

 

『…どうせみんないつかは来る場所なんだから、そんなに急いで来なくてもいいのに』

 

別れる間際、そのヒトがそう言ったことを、何故か今でも無性に覚えている…。

 

 

俺から見て五人目のきょうだいである"ヒーロシアトリカル"は幼少のころ、とても病弱だった。

今となっては信じられないだろうが。

ひとたび外に出れば風邪をこじらせてはあちらに渡りそうになる。

そんな子どもであった。

がしかし、その病弱さは唐突に立ち消える。

 

『おいひぃ!』

 

本当に、本当に駄目かもしれないと覚悟させられていたところから奇跡的に生還。

はじめて食事を幸せそうに食べている姿に母が泣いているのもつかの間、ベッドの住人であるヒーロシアトリカルが語る。

 

『まっくらなばしょにいたんだけど、しんないヒトにおいかえされた〜』

『すんげぇあしのはやいウマでさ、なんかね〜「リリィとフォーチュンによろしく」って〜』

『あれ?なんでかあさんないてるの!?』

 

 

 

その時、子どもであった俺たちは知らなかったが。

それは、奇しくも。

"あの日"から起算して、××回目の…。





【演劇的ヒーロー】:
ヒーロシアトリカル。父親と姿が瓜二つ。
父ミスターシービー母シルバフォーチュン。
2000年生まれの黒鹿毛牡馬。逃げ馬。
適性は芝AダG。短GマC中A長B。逃A先B差F追E。
どうしようもなく生涯が劇的そう(小並感)。
主な勝ち鞍は皐月賞(2003)、KGVI&QES、BCターフ(2004)。


普段は明るいみんなのムードメーカー的存在だが実は幼いころのある時まではとても病弱であった。
いつ"あちら"に連れていかれるか、親であるシルバフォーチュンに戦々恐々とされている日々を過ごしていたところ、本気で"あちら"いきしかけた時に【あるヒト】に助けてもらう。
なお別れる際には『ゆっくり来なさい(意訳)』以外にも『いろいろと()ぶっ飛ばしておくからお前は安心して生きなさい(意訳)』みたいなことを言われたらしい。
そのためかは不明だが、それ以来風邪ひとつなく元気に過ごしている。

なお一番仲のいい兄弟はバレットシンボリ(2002年生父シンボリルドルフの鹿毛)とのこと。
あの…、あのあのあの…???
執着相手の全妹から産まれた息子に"バレット"って名付ける【皇帝】さんorシンボリ家さんェ…。


【あるヒト】:
かーえれ、かーえれ!かえってェ!!頼むから!!!!(懇願)
なんか見守ってたらこっちに来るやつがいるし、慌てて走り回って見つけたと思ったら一番いちゃ駄目なところにいるよぉ!(白目)
そんな気持ちだった。
んで送り帰している途中も横から掠め取ろうとするヤツらがいたので牽制しまくることに。

どうやら「リリィとフォーチュン」という者に縁があるらしい。
…誰だろうね?(ニッコリ)
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