誰も彼もが蹴散らされて。
カウンタアタックというウマは、非常にかかり癖のあるウマだった。
自分が誰よりも強いと思っているが故に、自分が誰よりも速いと思っている故に。
そして、……自分は絶対に負けないと思っているが故に。
このウマの最も恐ろしいところは、何と言ってもどうなったって『自分の強さを疑わない』ということだろう。
だからレース中に、少しでもペースが落ちれば即座にぶち抜く。
そうして最後まで先頭を走り続け、すべてを引きちぎるのだ。が、その強さが瞬いたのはたった一度だけで…。
*
カウンタアタックの闘争心はもはやカウンタアタック自身にも卸すことが困難なモノであった。
適正距離は父と同じマイル。
……にも関わらず、マイルのレースに新バ戦以後一度も勝てなかった。
その理由はひどく明快で、……単純に彼の性格が原因だった。
カウンタアタックは確かに気が強く、気性難ではあるが、別に走ることが嫌いなわけでもないし、むしろ好きな方だ。
しかし、彼自身が自身の適正をマイルだと
それとも自身が負けるはずがないと
カウンタアタックはペースというものを一切考えずに、気楽に構えるばかりだった。
…そうすると当然バ群に囲まれたりなどして上がってこられないワケだ。
そして負ける。
新バ戦をあれだけのパフォーマンスで制したクセに、と陰ながらに言う者もいた。
その結果、
「クソっ!!クソがァッッ!!!!」
カウンタアタックは荒れに荒れ。
周囲半径50メートル以内に誰も近寄らないほどに荒れた。
…そんな過程を辿った果ての、安田記念。
『退 け よ』
いつものかかり癖が嘘のように後ろに控え、虎視眈々と狙いを定めた先。
瞬間、その場を走っていた誰もにかかる
それをカウンタアタックは、ゴールまで背負い続けた。
全方位に向けられた圧はすべてを呑み込み、体力や精神諸々を削り去り。
結果、最終コーナーの時点で他のウマより5バ身ものリードを奪っていたカウンタアタックは後続を寄せ付けず、加速しながら悠々とゴール板を通過し、もちろん圧勝。…だったのだが、
「かは、は…。まぁ、上出来じゃねぇ…?」
その脚の
*
【会心の一撃】:
カウンタアタック。
父サッカーボーイ母シルバフォーチュン。
1996年生まれの尾花栗毛な牡馬。
適性は芝AダG。短GマA中B長C。逃D先A差A追C。
主な勝ち鞍は共同通信杯4歳S,安田記念(1999)。
自分がいちばん強いと思っているタイプのウッマ。
物凄いかかり癖と物凄い気性を持ち合わせている。
それ故になかなか結果が出ず「こんなもんか」と周りから落胆されていたところ、クラシック級での安田記念勝利を果たす(勝ち時計1:32.0)。
がその勝利は自身のリミッターを外してのものであったため、秋を待たずに引退。
だがカウンタアタック本バは「ズルズルやるよりもやるだけやってバカでかい結果出せたからいいや」という感じでスッキリしている。
しかし、その走りを見せられ、リベンジすることもできないまま引退された周りは…?