さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

734 / 1416

(あまね)パパと(ふひと)パパは仲良しなんだ!



彼から見た世界

白銀(あまね)の住む村には、バケモノだと言われる少年-白峰(ふひと)がいた。

いやそもそも、白峰家という家自体が村八分…とはいかないまでも、他の村民から少し距離を置かれていた。

白峰家は、代々馬に関係する仕事に就いているようだが、馬に関する執着が並大抵ではないらしく。

しかもまた、世話される馬の方も白峰家の者に懐いている…というのも烏滸がましいぐらいに。

馬と白峰家は切っても切り離せない関係にあり、その執着が故に、村民から気味悪がられている。が、

 

「帰んぞ、(ふひと)

「はぁ…」

 

(あまね)だけは違った。

(あまね)の家族は他の村人たちと同じように白峰家を気味悪がっていたけれど、(あまね)だけは違った。

 

「おばさん、お邪魔します」

「あら…いらっしゃい…?」

 

自分たちから関わりに行くならいざ知らず、自分からテリトリーに入ってくる人間なんて。

そんなもの、今まで見たことも聞いたこともなかった、(ふひと)含む白峰家の人々は(あまね)を不思議な生き物を見るような目でいつも見ていた。

そんな日常が気づけば二十年近く続いたある日、

 

「…あの、(あまね)

「ン、どした?」

「…馬、買わない?」

「は?」

 

大人になった(ふひと)が父の跡を継いで調教師になったのは知っていた。

そしてその頃には、(あまね)も自らの父から当主の座を引き継いでいて。

 

「…お前がそんな頼み事するなら、よっぽどのことなんだろ。ヨシ、分かった」

「え、」

「で、何頭ぐらい買えばいい」

「な、何頭って…」

 

普通なら断られるだろうことをあっさりと了承されて、思わずしどろもどろになる。

だが、目の前の(あまね)は買う気満々で「どこの馬を買えばいいんだ」と言葉少なに急かす。

 

「えっと……その、」

「ンだよ。ハッキリ言えって」

「……本気ですか?」

「あ?馬買うんだろ、何頭だっつってんだよ」

 

そう当然のように告げられて、(ふひと)はある牧場に(あまね)を連れていった。

そこは近づいただけで何だか普通では無いとありありと分かる場所だったが、確固とした証拠は見つからず。

そんな牧場で、

 

「…僕がいない間にどうしました?」

「……欲しい馬が、いたんだが断られた」

「大人の馬なら断られますよそりゃあ」

「いや、ありゃあ子馬だった」

「へぇ…?」

「金ならいくらでも出すつったんだけどな、断られたよ。逆に他の馬を勧められたが…」

「ふぅん。…その馬、なんて呼ばれてました?」

「『先祖返り』、だと」





白銀(あまね):
会社を投手の座と共に継いだ後。
大体40代近く?
ある日、父親の跡を継ぎ調教師となった(ふひと)に連れられてある牧場に行くことに。
そこでとある子馬に惹かれたが、断られてしまった模様。

白峰(ふひと):
父親の跡を継いで調教師に。
ふと訪れたとある牧場に何かを感じ、知己である(あまね)に話を持ちかける。
ある子馬を欲しがる(あまね)に珍しいこともあるもんだなあとこの時は思っているが、この一年後コイツもコイツで似たようなことになる。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。