さて、どうなることやら。
トレセン学園には、『幽霊』がいる。
確固としたカタチを持っている、いろいろな場所に出没しているあたり、まぁチカラのある存在のようだが。
「…」
『♪』
何故だか、その『幽霊』に懐かれた。
特に何をした覚えもないのに。
よくある、「困っていたところを助けたら〜」みたいなのもない。
ただ普通に過ごしていたらいつの間にか懐かれていた。
「なんで、僕の傍にいるの」
そう聞いても、答えはない。
「あっちで体育の授業してるよ」と意識を逸らそうにもキツく抱き締められるばかりで、離れる様子はない。
「……」
『♪』
「……はぁ」
ため息を吐きつつ、その頭を撫でると嬉しそうに身体を擦り寄せてくる。
こんな姿を見せられたら、邪険に扱うことなんてできないじゃないか。
*
その姿を『幽霊』が見つけたのは、偶然であったのかもしれないし、また必然であったのかもしれない。
『!』
小柄な、芦毛の背。
体は制服に着られているというのが正しい表現のように華奢。
そして一番目立つのは…顔半分を覆うような眼帯。
あぁ、まさしく。
『幽霊』が、ずっと探し求めていた存在。
『───────!!』
思わず、その背に声をかけていた。
普通の人は『幽霊』である自分が見えないということを忘れるぐらいに。
「だれ?」
振り向いた少女は、不思議そうに首を傾げながら自分を見つめる。
眼帯で隠されていない方の瞳は、深淵のよう。
美しいと言えば美しいが、しかし幼さの残る顔立ちにはアンバランスなようにも思えた。
そんな少女に、『幽霊』は微笑む。
『ずっとお前を探していたんだ』と。
・
・
・
「…」
最近、ちょっとした悩みができた。
件の『幽霊』かと言われればそうであるし、「付きまとわれるのが迷惑なのか」と聞かれればそれは違うと答えよう。
じゃあどんな悩みなのかと言われれば。
『お前の死後、俺にくれよ』
そう、世間話のように告げられて。
「……」
『幽霊』に、求められている。
「……は?」
いや待て、なんだそれは。
というかそもそも、僕はまだ死ぬ予定ないし。
なんで死後を勝手に予約されてるんだ?
「えっと……冗談?」
『本気だが?』
「……」
思わず頭を抱えた。
そんな僕を見てか、『幽霊』が言葉を続ける。
『お前の魂が欲しい』と。
「いや、待ってよ」
『?』
「なんで僕の魂が欲しいのさ」
『欲しいから』
「単純明快ダナァ」
『で?くれるのか?くれないのか?』
「ちょっとぐらい考えさせてよ」
『いいや。お前はここで決めさせないとのらりくらりするに決まってるから…』
僕:
シルバーバレット。
『幽霊』に懐かれた。
ただそれだけ(だと思っている)。