さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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さて、どうなることやら。



『幽霊』の望み

トレセン学園には、『幽霊』がいる。

確固としたカタチを持っている、いろいろな場所に出没しているあたり、まぁチカラのある存在のようだが。

 

「…」

『♪』

 

何故だか、その『幽霊』に懐かれた。

特に何をした覚えもないのに。

よくある、「困っていたところを助けたら〜」みたいなのもない。

ただ普通に過ごしていたらいつの間にか懐かれていた。

 

「なんで、僕の傍にいるの」

 

そう聞いても、答えはない。

「あっちで体育の授業してるよ」と意識を逸らそうにもキツく抱き締められるばかりで、離れる様子はない。

 

「……」

『♪』

「……はぁ」

 

ため息を吐きつつ、その頭を撫でると嬉しそうに身体を擦り寄せてくる。

こんな姿を見せられたら、邪険に扱うことなんてできないじゃないか。

 

 

その姿を『幽霊』が見つけたのは、偶然であったのかもしれないし、また必然であったのかもしれない。

 

『!』

 

小柄な、芦毛の背。

体は制服に着られているというのが正しい表現のように華奢。

そして一番目立つのは…顔半分を覆うような眼帯。

あぁ、まさしく。

『幽霊』が、ずっと探し求めていた存在。

 

『───────!!』

 

思わず、その背に声をかけていた。

普通の人は『幽霊』である自分が見えないということを忘れるぐらいに。

 

「だれ?」

 

振り向いた少女は、不思議そうに首を傾げながら自分を見つめる。

眼帯で隠されていない方の瞳は、深淵のよう。

美しいと言えば美しいが、しかし幼さの残る顔立ちにはアンバランスなようにも思えた。

そんな少女に、『幽霊』は微笑む。

『ずっとお前を探していたんだ』と。

 

 

「…」

 

最近、ちょっとした悩みができた。

件の『幽霊』かと言われればそうであるし、「付きまとわれるのが迷惑なのか」と聞かれればそれは違うと答えよう。

じゃあどんな悩みなのかと言われれば。

 

『お前の死後、俺にくれよ』

 

そう、世間話のように告げられて。

 

「……」

 

『幽霊』に、求められている。

 

「……は?」

 

いや待て、なんだそれは。

というかそもそも、僕はまだ死ぬ予定ないし。

なんで死後を勝手に予約されてるんだ?

 

「えっと……冗談?」

『本気だが?』

「……」

 

思わず頭を抱えた。

そんな僕を見てか、『幽霊』が言葉を続ける。

『お前の魂が欲しい』と。

 

「いや、待ってよ」

『?』

「なんで僕の魂が欲しいのさ」

『欲しいから』

「単純明快ダナァ」

『で?くれるのか?くれないのか?』

「ちょっとぐらい考えさせてよ」

『いいや。お前はここで決めさせないとのらりくらりするに決まってるから…』





僕:
シルバーバレット。
『幽霊』に懐かれた。
ただそれだけ(だと思っている)。
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