獣だと、忘れないで。
グローリーゴアは忠犬である。
サンデースクラッパは少なからずそう思っている。
なにせ、ふとした時に目線をやるだけで犬耳とブンブン振られるしっぽを幻視するのだ。
ウルウルした目で懇願された日には…。
というわけで、サンデースクラッパはいつか犬を飼うならゴールデンレトリバーと決めた。
だがしかし。
「なぁ、グローリーゴア」
「ん? なぁに?」
「……キミ、なんでここにいるんだ?」
聞かれたグローリーゴアの頭上に『?』が浮かぶ。
見るからに『なにを当然なことを?』という顔だ。
「可愛がってもらいたいから」
「…恥ずかしげの欠片もない〜」
「だって、僕はキミに愛でてもらいたいの。だから、ここにいる」
「う〜ん……。まぁ、いいか……」
「うん!」
ニコニコと笑うグローリーゴアを見て、サンデースクラッパは考えるのをやめた。
深く考えてはいけない気がしたからだ。
(まぁ、可愛いからいっか)
そんな思考放棄である。
『今日も可愛いな〜』とか思っていればすぐに思考はそっちの方向へ行く。
考え過ぎは禁物だ。
気づきたくない真実を追求するなどバカのすることなのだから。
「あ、そうだ。ねぇグローリー」
「なに?」
「キミ、ちょっとしゃがんでくれないかい?」
「…?うん」
何の疑いもなくしゃがんだ、その頭をウリウリと撫でる。
胸元に顔を押し付けて、ふわふわの触り心地良い髪をたくさん堪能する。
一撫での度にシャンプーのいい匂いがして、サンデースクラッパは思わずグローリーゴアをぎゅうと抱きしめた。
「くすぐったいよ」
クスクスと笑いながら、グローリーゴアがサンデースクラッパの頬を撫でる。
まるで愛しい相手にするように、優しく。
「……キミ、本当に可愛いねぇ」
「ふふっ、ありがとう」
「うん。……ねぇ、キミってさぁ……」
サンデースクラッパはそこで言葉を区切ると、少し言い淀んでから口を開いた。
「犬、好きかい?」
「……え?」
「いや何もキミが犬のようだと言っているわけではないよ?けれど、キミの懐きようを見ていると将来犬を飼った時にその…喧嘩しそうだなって」
「し、心外…「しないって、言える?」うぬん」
「ほら、やっぱり」
グローリーゴアは犬っぽい。
サンデースクラッパの目にはそう映る。
「…まぁ、冗談だよ」
「……冗談?」
「だって、キミみたいな大きくて可愛いわんちゃんがいるもの。他に現を抜かすなんてできないさ」
「む…」
「ハハ、可愛い可愛い」
「…」
「可愛いね、グローリー」
「…スー」
「ん?」
可愛くて愛しいわんちゃんだと思ってたら一転攻勢かけられるのいいですよね〜。