さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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それとも詰みか。



それは罪か?

引退しても何もすることがねぇ!

働きたくとも有名になりすぎて働けねぇ!

…そんな贅沢な悩みを抱えてしまった結果、「暇ならそこのトレーニング場で近所のガキ共と遊んでろ」と放り出されたのが接欠で。

 

「わ〜。…うん、とりあえずみんな落ち着いてね〜」

 

僕の家の敷地内には、個人が所有するには…まぁ大きなトレーニング場がある。

元は母のために祖父がこしらえた場所で、それが孫である僕らにも継承されただけの話なのだが。

 

「うん。遊ぼ〜」

 

僕は今、そのトレーニング場で近所の子供相手に『遊び』と称しての臨時コーチをしている。

暇だからいいんだけどさ。

でも僕、人に教えるのは苦手なんだよねぇ……。

だから『遊び』として、子供らにトレーニングをさせている。

 

「じゃあ次は鬼ごっこね〜。みんな逃げて〜」

 

ストレッチをしたあとの『遊び』は、基本コレだ。

別に鬼ごっこといっても、普通の鬼ごっこだけではなく色鬼とかケイドロとかもするのだけど。

 

「ほら〜、みんな逃げないと僕が捕まえちゃうよ〜」

 

かわいいねぇ〜!

 

 

「兄さん」

「んー?」

「最近、あの子たちに懐かれてるのね」

「そうかなぁ?」

「そうよ」

「…えぇ〜?あの子たち、よく僕のしっぽ掴んでくるんだけど」

「構って欲しいのよ」

「そういうもん?」

「そういうものよ」

 

夜になり、ぼうっと本を読んでいるとやって来た妹─シルバフォーチュンと話をする。

 

「兄さん、最近あの子たちに構いすぎよ。……いい?兄さんはまだ休養中なの。もっと私たちに甘えなさい」

「えぇ〜……」

 

妹は僕の『遊び』をあまりよく思っていないらしい。

 

「僕はみんなと仲良くしたいだけなんだけどなぁ……」

「……兄さん」

「アッ。ムッてしちゃった!違う違う違う今日もフォーちゃんのこと好きだよ!他のきょうだいのことも大好きダヨォ!?」

「なら、いいわ」

 

妹はそう言うと、僕のしっぽをもふもふと触る。

 

「あの子たちに構ってもいいけれど、兄さんの一番は私よ?」

「うん……わかってる……」

「そうよね。よかった」

 

僕の膝に頭を預け、伸ばした手でしっぽを撫で、梳く指になんだかむず痒いような。

 

「フォーちゃん、くすぐったい……」

「ふふ。兄さんかわいい」

 

僕のしっぽを撫でる妹は楽しそうで、僕はそんな妹にされるがままだ。

 

「もう……。あんまり僕を甘やかさないでね?」

「あら、どうして?私としてはもっと兄さんを甘やかしたいのだけれど」

「……だって、フォーちゃんに甘え過ぎちゃいそうなんだもん」

 

僕がそう言うと、妹が僕のしっぽから手を離した。

そして体を起こして僕を抱き締めれば…。

 

「アワワワワワ」

「…兄さん、可愛い」





僕:
シルバーバレット。
ゆっくりしている。
子どもたち()に懐かれやすい。
とはいえ弟妹たちにも愛されては「自分が一番だよね?」されているらしい。
もちろん、キミが一番だよ!
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