さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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痩せるもんは痩せる。



歳を経て

(我ながら痩せたな…)

 

ふら、と着物の袖から覗いた腕は細く。

またアバラもフツーに浮いているのもさもありなん。

 

「……」

 

黒い着流しに下駄でカポカポと闊歩する。

歩くたびに下駄が足裏に当たる感触からしても痩せているのは丸わかりで。

 

「───……ま、特に困ってないし」

 

フツーは痩せたら戻さなきゃならんのだが。

生憎と僕は普通じゃない。

昔から燃費いいし。

今では腹もそう減らないようになっている。

とか考えつつ、久方ぶりに街に出たのだが───さて、何をしたものか。

 

(……服でも買って帰るかな)

 

着物も随分と傷んでしまったし。

新しいのを買って帰ってもいいかもしれない。

行きつけ、御用達の店に顔を出し、店主に声をかけようとして

 

「あ、いたいた。おーい、そこの着物の人ー」

「……ん?」

 

背後から聞き覚えのある声がかけられた。

振り返ってみると、そこには、

 

「やっぱりシルバーだ。ひっさしぶりー!」

「……」

 

……何でいる?

キミの住んでるところ、ここからだいぶ離れているはずだろうと問いたい。

 

「あれ? なに、どしたの?」

「いや……別に」

 

はてさて、これは一体どうした事か。

何か用でもあるのだろうか。

……まあ、いいか。

どうせする事も決まってないんだし。

 

(暇つぶしにはなるかな)

 

そう判断して久しぶりに会った友人の後について行く事にしたのだが……、

 

「でさー、その時ルドルフがねー」

「……」

 

いやに上機嫌な様子で喋るその姿を見ながら考える。

 

(何だろうなぁ?)

 

さっきからやけにハイテンションだ。

というか、何かいい事でもあったんだろうか?

 

「───でー、そうするとね〜!」

「……なあ、ひとつ訊いていいか?」

「ん? なに?」

 

いやに上機嫌な友人に問うてみた。

 

「何でそんなに嬉しそうなんだ?」

「え!? そ、そう!?」

 

あたふたと慌てる友人の姿に、やっぱりそうかと思う。

 

(……なるほど)

 

さては仕事から逃げてきたな?

 

「で、でも! シルバーだってそうじゃん!」

「……まあな」

 

否定はしない。

僕もまた仕事をサボってここにいるのだから。

 

(……ま、いいか)

 

お互い様という事にしておこう。

それに、友人と過ごすのも久しぶりだし。

 

「ところでさ」

「ん?」

 

そんな訳で久方ぶりに再会した友人と話し込んでいると、ふと気付いた事がある。

 

(……アレ?)

 

いやに視線が集まっている気がするのだ。

 

(何でだ?)

「……シルバー」

「ん?」

「とりあえず、逃げよっか☆」

「は、え?おい!」

 

足が地面から浮くぐらいの勢いで引っ張られ、連れられていく。

ちょっと手加減しろよと思わなくもなかったが…。

 

(たまにはいい、か)





僕:
シルバーバレット。
けっこう歳いった後。
黒い着流しが常だが、年老いたせいなのかどうなのか、体がガリガリ過ぎる御仁になった。
頬が痩けてないだけで服脱ぐとすごいらしい(別の意味で)。
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