さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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これは手玉に取られてますね!



惹かれあって『運命』

ウマ娘という種族には端的に言って、『運命』とも呼ぶべき相手がいる…こともあるらしい。

それはトレーナーだったり、昔から一緒のご近所さんだったりと様々だが。

 

「…!」

 

競走の世界に入ったウマ娘の『運命』は往々にして、同じく競走の世界に身を置くウマ娘である。

第三者からいつしか宿敵(ライバル)と呼ばれる類いの相手───。

いや、他にも何故だか惹かれてしまう…という種類の『運命』もあるにはあるのだが、やはり宿敵(ライバル)と呼ばれるまでの『運命』の方がより強く。

そういった『運命』は、出会った瞬間から互いに互いを激しく意識し合う。

 

「あ」

 

だから、互いにすぐ気がついた。

何かキラキラ光って見える…とまでは言わないが、確かに見ずにはいられないナニカが相手にはあって。

それからその視線を独り占めしたいとか、自分以外を見ないでほしいとか、そういった感情を抱くのが『運命』らしい。

 

 

───いくら『運命』と言えども過剰すぎないか?

 

その言葉に、サンデースクラッパは「はて」と首を傾げる。

サンデースクラッパの『運命』であるグローリーゴアはそれはそれは有名だ。

良血だし、スタイルもいいし、それに加えて戦績も良しときた。

引く手数多に黄色い声援。

そして羨望と嫉妬の的だ。

……まぁ、当の本人はそういったものにまるで興味がなく、いつもつまらなそうにしているのだけれど。

そんなグローリーゴアがある日突然ご執心になったのが異国から来たウマ娘…と考えてみるとさもありなんと思わなくもないが。

 

「でも可愛いと思わないですか?」

「あの子、僕が他の子のこと見るのが嫌で嫌でしょうがないみたいでよくぎゅうって抱き締めてくるんです」

「僕は、あの子しか見てないんだけどなぁ」

 

どうやら、グローリーゴアにご執心にされる僕のことが気に食わないらしい目の前のウマ娘にニコリと微笑む。

 

「グローリーゴアは僕に夢中だから…ごめんね?」

 

 

「…なに話してたの」

「何が?」

「さっきの子と」

「……別に?」

 

いつものように、どこぞのRPGみたいに自分の後ろを着いてくる『運命』に、サンデースクラッパは「ふふ」と笑みを零す。

 

「グローリー?」

「なに」

「呼んだだけ」

「……そう」

 

グローリーゴアの『運命』であるサンデースクラッパは、意地悪だ。

「見てるのはキミだけだよ」なんて言って、でも他の人も見ている。

グローリーゴアはサンデースクラッパしか見ていないのに…ひどい。

 

「でも、好きでしょう?」

「…うん」





【戦う者】:
サンデースクラッパ。
手のひらでコロコロ。
本人的には【栄光を往く者】しか見てないつもりだし、他人になんか言われたら煽るぐらいはする。
だって『運命』の相手だからね。

【栄光を往く者】:
グローリーゴア。
今日も一途に手のひらで転がされている。
執着が深いし、【戦う者】が話しかけられているその後ろで「早く離れろ」と圧を送ることもしばしば。
だって『運命』の相手ですから!
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