さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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飼い主の言うことしか聞かない狂犬定期。



デカい犬(概念)と飼い主

「キミは、素晴らしい人だね」

 

キミのような人をまさしく王子様というのかもしれない。

そう、戯れに漏らすとゆるりと甘えるように細まる目。

それにヨシヨシと毛並みを整えるように撫でると、彼は気持ちよさそうに目を細めた。

 

「じゃあ、そろそろ寝ようか」

 

そう促せば、素直に横になる彼。

その横に転がって毛布をかけてやれば、まるで抱き枕のように抱きしめられる。

 

「おやすみ、スー」

「……おやすみ」

 

そうして目を閉じると、すぐに眠気が襲ってきた。

ああ……今日はいい夢が見られそうだ。

 

 

はじめは彼─グローリーゴアの独断であったのだろうが、僕という存在は思った以上に彼の生家にすんなりと受け入れられた。

内心嫌味とか言われるんじゃあなかろうかとビクビクしていたが、僕の心配は杞憂に終わった。

 

「…」

「こら、グローリー」

「……ゃ、」

「めっ!グローリーめっ!」

「…やだ」

 

そりゃあ毎日毎日このようにグズグズと「仕事したくない」「僕と一緒がいい」と駄々を捏ねるグローリーに普通は辟易とするだろうが、それでも僕は彼の家族から割と歓迎されている。

というのも、このグローリーゴアというウマは僕がいないと何をしでかすかわからないからだ。

僕よりよっぽど頭がいいクセに、僕が傍にいなくちゃ「ヤダ」「やりたくない」なんて。

だからこそ、僕がなだめすかしてどうにかするしかなく…。

 

「こらっ!めっ!」

「や」

「今日は一緒にお仕事なのに?」

「……じゃあいく」

 

そう言って渋々と言った様子で立ち上がる様子にやれやれと内心息を吐く。

一緒に仕事といっても僕がすることといえば励んで仕事に勤しむグローリーゴアの横で茶をいれたり菓子をだしたり、あとは彼の傍で静かに過ごすだけ。

……いや、一応これでもグローリーゴアの補佐として仕事を任されているからには、それなりにやることはやっているのだが……まあ、それでも「これ」と言った仕事はない。

結果、こうしてグズる彼を宥めすかして仕事をさせるのが僕の主な役目なわけだ。

 

「ほらっ!いくよ!」

「ん……」

 

そうして手を差し出せば素直に重ねられる大きな手のひら。

そのまま引っ張ってやれば、彼は素直に歩き出す。

 

「今日も一緒にお昼寝しようね」

「ん……」

「……がんばろ、僕の王子様」

 

そう小さく囁いて額に口付けてやれば、少しだけ彼の手に力が篭もるのを感じた。

 

「……」

「わっ!?ぁ、痛い痛い痛いギブギブギブギブっ!!」

「…しごとしたくない」

「ダメ!グローリーダメ!ダメだってばぁ!」

 





【戦う者】:
サンデースクラッパ。
甘えんぼな【栄光を往く者】のお守役。
仕方にゃいにゃあって顔で毎日補佐役を頑張っている。
【栄光を往く者】に甘い。

【栄光を往く者】:
グローリーゴア。
実力はあるのに【戦う者】を前にするとすごくすごい甘えんぼになる。
たぶん【戦う者】の言うことしか聞かないと思われ。
やーなの、やー!!
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