さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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愛されてすくすくと育っております。



愛の受容

ビク、と震える体を掻き抱いた。

自分よりも頭ひとつ分近く大きい女だが、こう見るとやはり女なのだなと納得する。

普段、どれほど勝気でも。

普段、どれほど男らしくとも。

ホワイトリリィは女の子。

そのことを、今更になって再確認した。

 

「……」

 

思わず唇を舐めればキッと睨まれた。

しかしその瞳には怯えが見えて。

 

「リリィ」

「っ、……なんだ」

「可愛い」

「……は、はぁ!?」

 

顔を真っ赤にさせて。

しかし拒絶する言葉は出てこなくて。

そんなリリィに、俺は『愛』を贈ることにする。

 

触れれば触れるほど。

知れば知るほど。

深みに嵌っていく、落ちていく。

執着という名の泥に足を取られ、逃げ出すこともできないまま。

俺はホワイトリリィという泥沼に沈んでいくのだ。

 

「っ、は……」

 

そう考えつつ、見下ろしたリリィは荒い息で酸素を求めていた。

 

「大丈夫か?」

「……うるさい」

 

なんて憎まれ口を叩くも、その体は震えていて。

だから俺はもう一度『愛』を伝えた。

強い人。

愛しい人。

ならば俺の贈る『愛』に溺れてしまえ。

どこにも行けないように、俺なしじゃ生きられないように。

 

「リリィ」

「……な、に」

「好きだ。愛してる」

「っ、うるさい!」

 

顔を真っ赤にさせて叫ぶ彼女はやっぱり可愛くて。

 

「はは、」

 

 

「親父からも何か言ってやってくれよ」

「なんでさ」

「私が言っても『可愛い』と『愛してる』しか言わねンだ、アイツ」

「はぁ…」

 

仲良きことは美しきことかな、と思うけれどそれは外野だからであって。

本人にとっては悩みの種なのだろう。

 

「…別にいいんじゃない?それだけリリィが愛されてるってことダロ?他のに目移りしてるんじゃないんダカラ」

「……」

「それに、満更じゃないクセに」

「……うるさい」

 

同じ男同士なら何とかしてくれるかと思ったのに。

額を押さえるホワイトリリィの悩みは、伴侶であるヒカルイマイよりの止まらない『愛』の奔流で。

何がなんでも『可愛い』『愛しい』になりやがるアイツは、本当に、

 

「タチが悪い」

 

ホワイトリリィは、そう呟いた。

 

「……あのな、俺だからよかったけど他の奴にそれ言うなよって。マジで勘違いされるぞって。アイツのあの顔面偏差値だったらさぁ」

「愛してるねぇ」

「……」

「アハハ」

 

ぷぅと膨らんだ餅のように頬を膨らませても、そこは相手が実の父親だからか。

 

「リリィ」

「っ、」

「ぼくも愛してるよ」

「……うるさい。黙れバカ親父!」

 

そう言ってまたそっぽを向いた彼女は、耳まで赤くしていて。

そんな娘の姿に、父親は嬉しそうに笑ったのだった。

 





【白百合】:
ホワイトリリィ。
父と夫に溺愛され、自覚はないがちょっと無防備。
好き好き攻撃されると嬉しいよかむず痒くなるタイプ。
でもこっちもこっちで好き好きアタックするしなぁ…。
似たもの同士だネ!
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