愛されてすくすくと育っております。
ビク、と震える体を掻き抱いた。
自分よりも頭ひとつ分近く大きい女だが、こう見るとやはり女なのだなと納得する。
普段、どれほど勝気でも。
普段、どれほど男らしくとも。
ホワイトリリィは女の子。
そのことを、今更になって再確認した。
「……」
思わず唇を舐めればキッと睨まれた。
しかしその瞳には怯えが見えて。
「リリィ」
「っ、……なんだ」
「可愛い」
「……は、はぁ!?」
顔を真っ赤にさせて。
しかし拒絶する言葉は出てこなくて。
そんなリリィに、俺は『愛』を贈ることにする。
触れれば触れるほど。
知れば知るほど。
深みに嵌っていく、落ちていく。
執着という名の泥に足を取られ、逃げ出すこともできないまま。
俺はホワイトリリィという泥沼に沈んでいくのだ。
「っ、は……」
そう考えつつ、見下ろしたリリィは荒い息で酸素を求めていた。
「大丈夫か?」
「……うるさい」
なんて憎まれ口を叩くも、その体は震えていて。
だから俺はもう一度『愛』を伝えた。
強い人。
愛しい人。
ならば俺の贈る『愛』に溺れてしまえ。
どこにも行けないように、俺なしじゃ生きられないように。
「リリィ」
「……な、に」
「好きだ。愛してる」
「っ、うるさい!」
顔を真っ赤にさせて叫ぶ彼女はやっぱり可愛くて。
「はは、」
*
「親父からも何か言ってやってくれよ」
「なんでさ」
「私が言っても『可愛い』と『愛してる』しか言わねンだ、アイツ」
「はぁ…」
仲良きことは美しきことかな、と思うけれどそれは外野だからであって。
本人にとっては悩みの種なのだろう。
「…別にいいんじゃない?それだけリリィが愛されてるってことダロ?他のに目移りしてるんじゃないんダカラ」
「……」
「それに、満更じゃないクセに」
「……うるさい」
同じ男同士なら何とかしてくれるかと思ったのに。
額を押さえるホワイトリリィの悩みは、伴侶であるヒカルイマイよりの止まらない『愛』の奔流で。
何がなんでも『可愛い』『愛しい』になりやがるアイツは、本当に、
「タチが悪い」
ホワイトリリィは、そう呟いた。
「……あのな、俺だからよかったけど他の奴にそれ言うなよって。マジで勘違いされるぞって。アイツのあの顔面偏差値だったらさぁ」
「愛してるねぇ」
「……」
「アハハ」
ぷぅと膨らんだ餅のように頬を膨らませても、そこは相手が実の父親だからか。
「リリィ」
「っ、」
「ぼくも愛してるよ」
「……うるさい。黙れバカ親父!」
そう言ってまたそっぽを向いた彼女は、耳まで赤くしていて。
そんな娘の姿に、父親は嬉しそうに笑ったのだった。
【白百合】:
ホワイトリリィ。
父と夫に溺愛され、自覚はないがちょっと無防備。
好き好き攻撃されると嬉しいよかむず痒くなるタイプ。
でもこっちもこっちで好き好きアタックするしなぁ…。
似たもの同士だネ!