さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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けど、どうすることも出来ないよねって。



なにか違う

生まれた頃から、「あぁ、なにか違うな」と察してはいた。

なにせ()の僕はバリバリの日本生まれ日本育ちだったし(後に現在の故郷に移住したとはいえ)、こんなに己に懐いてくる幼なじみ()はいなかった。

 

「…」

「グローリー…」

「ゃ」

 

ほぼ、生まれた頃からの仲。

だいぶ僕らって身分差があると思うんだけど?と考えてみたこともあったにはあったのだが、それを考えるよりもこの幼なじみサマの癇癪をどうにかしなければならない方が圧倒的に多く、自然と「まぁいいか」となってしまう。

だって、グローリーが僕の側を離れることなんてないし、僕もグローリーから離れるつもりなんてないし。

それに──……。

 

「スー」

「……ん?どうしたの、グローリー」

「もうお外は寒いから中に入ろうよぅ……」

 

そう言って僕の手を引くのは、僕より(なんとか)頭一つ分小さいウマ娘だ。

雪のように白い肌に太陽のような栗毛の髪を持つ彼女は、僕が知る限り誰よりも美しく可憐で可愛らしい子である。

 

「うん、そうだね。もうだいぶ寒くなったし」

 

僕はそう言ってグローリーの手を引きながら家の中へと戻っていく。

グローリーの家は、いわゆる名家というやつだがその分ご両親ともに忙しいらしく。

使用人なども家にちゃんといるらしいが、このグローリーこと『グローリーゴア』というウマ娘は僕に懐きに懐き倒しているからして「僕と離れたくない」と帰りたがらず。

なら僕の家にそのまま泊まらせた方が安全だと、今では僕の家に住んでいると言ってもおかしくない。

 

「スー」

「ん?」

 

グローリーが僕の手をにぎにぎと揉みながら、僕を見上げてくる。

その目はどこか不安げに揺れていて、僕は安心させるように笑いかけた。

 

「大丈夫だよ、グローリー」

「うん……」

 

──僕がキミから離れるなんてありえないから。

だってキミは僕にとっての唯一だから。

そんな想いを込めながら彼女の頭を撫でれば、彼女は嬉しそうに笑ってくれるのだった。

 

 

とはいえ、何で幼なじみになっているのだろう。

()の世界では確かに生の大半をこの幼なじみと過ごしたわけだが。

 

(もしかして、執念とか…そういうの?)

 

この幼なじみならやりかねない…。

僕はギュッと苦虫を噛み潰した顔で、自分の横ですよすよと安眠する幼子を見やる。

いや、可愛いんだ。

誰がなんと言おうと可愛いんだ。

でも、

 

(この姿でも()の時みたいなジト目が炸裂すると考えたら、なぁ…)

 

僕に懐いてくれるのはたくさん嬉しいけれど。

嬉しいけれど、…ね?





何故か米国生まれ米国育ちになってた【戦う者】(ウマ娘ver.)が少し考える話。

【栄光を往く者】:
グローリーゴア。
良いとこの家の生まれのウマ娘。
ちょっとぼうっとしている子だが幼なじみの【戦う者】のことが大好き。
【戦う者】のことが大好き過ぎて遊び終えて家に帰ってもそのまま使用人の目を掻い潜って脱走することが多々あったので、誘拐等の危険も考慮して現在は半ば【戦う者】の家で一緒に暮らしていると言っても過言ではないらしい。
たぶん性格は頑固。
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