さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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あなたがために。



答えは知れない

まるで地獄だ。

 

『ぁ、嗚呼、ああああああああぁぁぁ!!!!』

 

思い出すのはいつだって、終わってしまった瞬間で。

遠に指の先もかけられなくなったところで、途端に思い出す。

それを何度も繰り返して。

そのたびに、失敗して。

ありふれた日常で、その日が愚かにもいつまでも続くと思っていた。

 

「……」

 

───嗚呼、これで何度目だったか。

 

 

何となく、「アレ?これおかしくない?」と気がついたのは幼い頃。

家の庭を飛んでいたちょうちょに「ちょうちょだ〜!ちょうちょちょうちょ!」と駆けていったところで。

 

「チビ!!」

 

引き攣った、悲鳴を聞いた。

そう己が名を呼んだのはいつも優しい祖父で。

ぎゅうと、幼い体が軋むぐらいの強さで抱き締められるのに当たり前のように困惑すれば「外はあぶないんだよ」と。

 

「お外で遊ぶのは、もうダメだよ」

 

諭すように言われた言葉に、幼いながらに「どうして?」と首を傾げたのだ。

だって他の子が遊んでる声がよくするのに、聞こえるのに。

なんで僕だけ?、と。

そうして、ふと気がついたのだ。

 

(そうしたら、けんかへるかな…?)

 

その頃の我が家は、そこそこの頻度で喧嘩が絶えなかった。

どういった議題で喧嘩していたのかは、その渦中に入らぬよう、きょうだいたちと共に別室に隔離されていたので定かではない。

けれど、ボンヤリと()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と。

そう、漠然と思ったのだ。

だから、幼い自分は言った。

「わかった」と。

そう答えれば喧嘩がなくなるのだと信じて疑わなかったから。

……それが、今でも続いている。

 

「…いってきます」

 

いま現在、僕が通っているのは徒歩圏内の高校(とはいっても田舎なので通う人によってはなんかスゲェ道が通学路だったりするらしい)で、どう足掻いたって昔からの馴染みしかいない1学年多くて2クラスぐらいの人数しかいない。

だから、必然と顔見知りが多くなるし、気安い関係にもなる。

 

「おー」

 

そんな僕の声に気の抜けた声が返る。

振り返れば同級生の男子が欠伸を噛み殺しながら片手を挙げていて、僕は小さく笑ってから歩き出した。

 

「はよ〜っす」

「あ!おはよう!」

 

「今日課題提出だけどちゃんとしてる?」「あ、忘れてた貸して」「はいはい」なんて普段通りの会話をしつつ校門をくぐる。

教室に入れば、そこそこの人数が既に登校していて「おはよう」と挨拶を交わしつつ席についた。

そうして、思うのだ。

 

(……あれ?)

 

僕、ここにいるのが正しいのか?って。

 





僕:
シルバーバレット。
普通の一般高校生。
たぶん卒業したらそのまま父親の畑手伝いになるんじゃないでしょうか。
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