さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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さすがに、言わざるを得なかったらしい。



意外と心配性?

僕-シルバーバレットと、アグネスタキオンの関係は意外と長い。

アグネスタキオンが現在のようにマンハッタンカフェと旧理科準備室を共有する前からの親交なのだから思えば結構なものだ。

 

「先輩〜。おなかが空いたよぉ〜」

「はいはい、ちょっと待ってね」

 

持ってきていた菓子に、彼女が愛飲する紅茶をセットで持っていく。

飲むにしてもパックで…としかしない僕からしてみればアグネスタキオンの紅茶は「よくそんな手間をかけれるなぁ」と感心するものだ。

 

「はい、どうぞ」

「ありがとう先輩! さぁて……今日は何かな……」

 

ウキウキとしながらアグネスタキオンは菓子の封を開けた。

この仕草だけ見れば本当にただの女の子なんだけどなぁ……。

 

「ん? どうしたいんだい?」

「いや、なんでもないよ」

 

僕は誤魔化しながら彼女の向かいに座る。

こうして対面で話すのも慣れたものだ。

最初はお互いよそよそしかったものだが今ではすっかりリラックスしている自分がいる。

 

「ブラウニーか!先輩の作るブラウニーは濃厚でそれはそれは…」

「…すごい顔してるね」

「そうさ!誰にも譲りたくないぐらいには!!」

「ははは」

 

昔は食生活がない中々にヤバかった彼女も、こうして世話しに行くようになると徐々に改善されて。

ちょっと甘味を求めすぎているのはたまにキズだけれど、頭脳労働をよくしているし仕方ないことなのかな?とも思う。

 

「ところで、先輩」

「ん?」

「最近、カフェとはどうだい?」

「……また急だね」

 

突然の質問に僕は面食らった。

アグネスタキオンは時折こういう質問をしてくるが、今回は少し意味合いが違うように感じる。

 

「別に普通だよ。普通に仲良くしてるよ」

「そうかい?それならいいんだが……」

 

そう言いながら彼女は紅茶を啜る。

僕も菓子を齧りながら彼女の言葉を待った。

 

「……私はね、先輩がカフェとどうなろうが特に何も言うことはない。けれど、先輩は…」

「…、あぁ」

 

アグネスタキオンが言外に指すその存在を"お友だち"という。

"お友だち"は、マンハッタンカフェの守護霊のようなもので、ポルターガイストをフツーに起こせるぐらいにはなんかチカラが強かったりする。

僕はその"お友だち"と仲が良くて…。

 

「先輩は……お人好しだからねぇ」

「それは褒められているのかな?」

「もちろんさ!」

 

ケラケラと笑うアグネスタキオンを見て、僕も釣られて苦笑する。

そんな僕を、彼女はじっと見つめて。

 

「……先輩」

「なに?」

「私はね、君が心配なんだ」

「……大丈夫だよ」

 

"お友だち"のみならず、そういったモノと親しくなってどうこう…というのはよくある話だ。

嫌われるのも怖いが、逆に好かれるのはもっと…と。

 

「大丈夫」

 

"お友だち"はやさしいのだ。

 

「大丈夫だよ」

 

僕の大切な、ともだちだから。

そう告げるとアグネスタキオンはそれ以上何も言わなかった。

ただ、菓子を齧りながら僕をじっと見ていただけだった。

 





僕:
シルバーバレット。
"お友だち"と仲がいい。
ただ、それだけ。
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