さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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それは、対等では無いから。



お礼と言えど

あの【金色旅程(もんだいじ)】に同室ができた、というのは今までも聞いたことのある話だ。

しかし、あの【金色旅程(もんだいじ)】が同室と問題を起こすことなく日々を過ごしている…というのは、にわかにも信じ難い話であって。

 

「先輩」

「お〜。…お前、前も言ったろ」

「でも、」

 

ガサツに頭を搔く【金色旅程】の後ろに雛鳥のごとくいるウマの手に握られているのは購買のビニール袋。

 

「買ってこなくていいって」

「…俺が好きでやってるんですが」

「そうは言っても周りから見るとお前が俺にパシられてるようにしか見えないんだよ。しかもソレ、アレだろ?入手困難なヤツ」

「はぁ…。まぁ、余裕がある時に手伝ったりしてるからのお礼なんで別に」

「お前、ホントに…」

 

その会話は、なるほど。

確かに【金色旅程】が同室と問題を起こしているようには思えないもの。

逆に、振り回されているようにも…。

 

 

同室となった後輩の悪癖に気がつくのに、そう時間はかからなかった。

 

「先輩」

「…は、?」

 

ドサッ、と自分の前に置かれたビニール袋の中には様々な菓子類。

総額何円だ、という量に唖然としていると「…あれ?パンとかの方がよかったっスか?」と申し訳なさそうにする姿。

 

「ちょっと待て」

「はい」

「お前、コレなんだ?」

「なんだって…"お礼"ですけど」

「"お礼"だァ?」

 

いわく。

自分のことを守ってくれると言った俺に対しての迷惑料(お礼)なのだと。

金自体は昔からのお年玉やら何やらが貯まりに貯まっていたところから捻出しているので、心配はいらないと。

……いや、そういう問題ではない。

 

「お前、俺が言ったこと忘れたのか?」

「いえ」

「だったら……」

「……俺みたいなのが同室になって先輩、迷惑してるでしょう?」

 

自嘲気味に笑う後輩にため息をつきながら頭を搔く。

 

(あぁ、クソ)

 

なんでこう上手くいかないんだか。

根にまで染み付いた過去は簡単に拭うことはできないというのは百も承知だが。

これじゃあ対等なんぞ、夢のまた夢だろう。

 

「確かに、俺はお前が同室になるのを嫌がって()。……それは認める」

「……はい」

「でもな?そんなのもうどうでもいいんだよ」

「……え?」

 

ポカンとする後輩に構わず続ける。

 

「お前は自分のことを卑下してるようだが、俺からしたらお前は十分魅力的だ。それに、俺にはない物を持ってるとも思ってるしな」

「……」

「だからまぁ……なんだ。そういうお礼は要らねぇし、お前との関係がそういったモノで成り立つのは嫌だ。…わかったか?」

「……。そう、ですか。分かりました」

「ん」





【金色旅程】:
先輩。
同室となった【銀色の王者】と対等になりたい。
でも【銀色の王者】に染み付いてしまっているあれやこれやを抜かなければそうはなれないことも理解している。
でも、解決に他人の手が入ることは…?

【銀色の王者】:
シルバーチャンプ。
ナチュラルにパシリ癖。
でもパシリ癖=貢ぎ癖かもしれない。
懐いた人にはとことん懐くタイプ。
でもそういうとこが危なっかしいとはもっぱらの談。
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