さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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思えばコイツ嬉々として事故物件に住みそうだなって。



いちおう住んでたんだけどなぁ…

モラトリアムみたく、ドリームトロフィーリーグに進んでいたのだが、それも引退となっては本格的に第二のバ生とやらを考えなければならなくなった。

 

「ううむ…」

 

仔ウマたちのレース教室の先生…は、僕個人としてはやりたいけど僕の名声的に面倒くさいというか、危ない…みたいなので止められたんだよねぇ。

それが一番やりたいことだったのだけど。

 

「はぁ…」

 

で、他の職を考えたら雑誌のコラム書いたりとかレースの解説とか?

でもそれも僕が理論派ではなく感覚派なせいであんまり。

 

「いっそ、ウマチューバーとか?」

 

でもそれは僕のキャラじゃないしなぁ……。

かといって他に何かやりたいことがあるわけでもないので、僕は悶々とした日々を過ごすのだった。

そんな時だ。

 

「───こんにちは」

 

忙しいはずの、友人が訪ねてきた。

数年前までは、共にドリームトロフィーリーグを駆けていたライバルでもあるわけだが…なんでこんな辺鄙でよく言えば趣のある我が家に?

 

「やぁ、どうも」

 

とりあえず僕は挨拶を返す。

すると友人は……。

 

「単刀直入に言いますね。私の家に来てくださいませんか?」

「……え? いやでも…ん????」

 

友人のことはよく知っている。

家柄も良く、レースの成績もよく、またみんなに慕われていたウマ。

悪いところも…まぁあるっちゃあるけどそれも愛嬌というか。

そんなウマがどうして?

 

「なんでぇ?」

 

マジで分かんなくて質問すると出るわ出るわの勧誘で。

やれ僕がドリームトロフィーリーグに入るぐらいからもう考えてたとか、衣食住完備でお小遣い付きですとか、うんぬんかんぬん…。

 

「いや……それはありがたいけど……」

 

友人の勧誘はありがたいし嬉しいけど、でも僕の答えは決まっていた。

 

「僕、ここで暮らすのが好きだから」

「……そうですか」

 

友人は残念そうにしながらも、どこか分かっていたように頷いた。

 

「では仕方がありませんね……でも気が変わりましたらいつでも連絡ください」

 

そう言うと友人は帰っていくのだった。

 

 

のが、ちょっと前のこと。

で、いま現在。

 

「わ、ァ…!」

 

僕の家は…轟轟と燃えていた。

めちゃくちゃに燃えていた。

煌々とファイアしている。

あの燃え具合…何も残らねぇナと、「現役時代のもの全部実家とかに移しといてよかった〜」と現実逃避気味の安堵をする。

 

「……」

 

さぁて、これからどうすっかな〜(白目)。

通帳とカードとか必要なのは今も持ってるバッグに入ってるからヨシ!だけども…。

 

「ううん、いま燃えてる家みたいな人気(ひとけ)がなくて入り組んでる家探すの…面倒くさそうだなぁ…」





僕:
シルバーバレット。
あんまり目立たない家で過ごしてたら家が燃えた。
もしかしたら廃墟だと思われて…?かもしれない。
現状めちゃくちゃ困っているとかどうとか。
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