さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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風邪っぴき。



そばにいて

『シロガネハイセイコ』と名付けた子どもは、いい子であるけれど…いい子でありすぎた。

この年頃の子は癇癪を起こしたりだとか甘えたりするもんじゃなかったかな?と、かつての弟妹たちを思い返してみても、シロガネハイセイコは聞き分けが良すぎて逆に不安になるほど。

……まぁ、その不安は的中しまして。

 

「ハイセイコ?」

「……はい?」

「…ちょっとおいで」

「……?」

「………酷い熱!」

 

いつもよりぽうっとしているなぁと思い、呼び寄せて額を触ってみるとそれはそれは高い熱!

慌てて布団に寝かしつけ、氷嚢を頭に乗せてやってもシロガネハイセイコはキョトンとしていて。

 

「あたまが……いたいです」

「当たり前でしょ!」

「でも、いつものことなので……」

「……いつも?」

「はい」

 

……この子は本当に大丈夫なんだろうか?と頭が痛くなったのは言うまでもない。

どうやら今日は熱で、ぼんやりとしていたらしい。

 

「……じゃあ、今日はずっと一緒にいるからね」

「……え?」

「ハイセイコが元気になるまで、ずぅっと傍にいるからね」

「……え?」

 

……あれ?

なんでそんなに動揺しているのかな?

だって、こんなに熱があるのにシロガネハイセイコはいつも通りに過ごそうとするから。

だったら、せっかくだし甘やかすぞ!って思ったんだけど…。

 

「い、いいんですか……?」

「うん。いいに決まってるでしょ!」

「で、でも……」

「もう!いいから寝なさい!」

「は、はい」

 

……なんでそんなに嬉しそうな顔をしているんだろうか。

シロガネハイセイコが何を考えているのかわからないのはいつものことだが。

でも、熱があるせいなのかいつもより素直で甘えたなこの子が可愛くて仕方なかった。

 

(あ、そうだ!)

「ねぇ、ハイセイコ?」

「なんですか?」

「なにか欲しいものはあるかな?」

「……ほしいもの……?」

「うん。特別になんでも買ってきてあげるよ!ほらゼリーとかプリンとか」

「……ぷりん?」

「うん。プリン」

 

……あれ?固まったぞ? なんでだ??と首を傾げていると、突然シロガネハイセイコがガバッと起き上がり。

 

「い、いけません!そんな高価なものを買っていただくなんて……!」

「え?なんで?」

「だって、高いんでしょう?」

「いや、別にそんなことないけど……」

 

というか、むしろ安いと思うんだけどな。

何も駅とかで売ってる奴買ってくるってわけじゃあないんだから。

 

「じゃあコンビニでも行って…」

「まって!」

「へ?」

「ほ、ほしいものは、とくにないので……だから」

 

そばにいて、ください。

 

「…そっか。うん、分かった」

 





僕:
シルバーバレット。
甘やかすぞ!!!!
とはいえ甘え下手なのは遺伝か、それとも…?
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