さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

78 / 1416
前に書き忘れてましたが『"Destiny" to run away.』はリクエストいただいていた「アプリメインストーリーのライス章みたいな、史実を知ってるユーザーの脳を溶かすハッピーエンド回のウマ娘話」を想定して書いています。
世界をひっくり返す系つえーウマ娘の話、私性合!


ウマ娘外伝『"Destiny" to run away.』ノベライズ版の一幕

望まれた産まれだったのか、またはその逆か今となっては分からない。

母方の借金のカタとして売られかけて、それを心優しい神様のような御方に助けられて生き延びた。

 

ジブンが過ごす町はどうにも幸せな人を妬んでいるようなヤツらばっかで、それはジブンも同じ。

夜になりゃあ客引きが集まって悲しいヒト同士で慰めあっている、そんな天国からは程遠い場所。

 

そんな中でこんなジブンをトレセン学園(てんごく)へと引き上げたのがトレーナーだった。

そりゃあ当然感謝したとも。

こんな己にはもったいないとも思ったとも。

だが、カミサマってヤツはジブンのことがとんとお嫌いなようで、かわゆいジブンの顔にこんな火傷痕をつけやがった。

 

んで、生まれが生まれのジブンを妬むような哀れなヤロウもいやがるってモンで、あん時は大変だった。

ちぎっては投げちぎっては投げを繰り返しても羽虫みたく寄ってたかってくるものだから、弱っちい弱者のフリして生徒会と大人に助けを求めるしかなかった。…ホントは借りなんか作りたくなかったんだが。

 

「あーあー…」

 

ホンット、何度怪我すりゃ気が済むんだかね。

複雑骨折した脚を固定されてたら昔のことまで思い出しちまった。

眠ったらジブンと同じように火事に遭ったヤツらではない、亡者みたいなヤツらに「助けてくれ」って縋られるし。

あー、ホントヤダな。眠るもんも眠れねぇ。

 

「なァ、カミサマよぅ」

 

曇り空を見つめながら一人ごちる。

 

 

いつになったら天国ってところに連れて行ってもらえるんだ。

ジブンは特段悪いことなんてした覚えがないっていうのに。

そりゃあお綺麗な、天使サマみてぇな生まれではないですがヤクなんてモンもやってねぇし、アンタを悲しませることも無いっていうのに。

逆にアンタを楽しませてばっかじゃねぇか?

 

「まぁ聞き届けてくんないって言うんだったらさぁ」

 

ジブンが地上に"天国"を作るぞ?

ぎゃあぎゃあ喚くだけ喚いて、指さして、石を投げてくるヤツらが恐ろしいったらありゃしないからな。

ジブンだって恐ろしいモンくらいあるのさ。

 

「ジブンの身はジブンで守るくらいしなくちゃ」

 

虐げられるだけ虐げられて、泣き寝入りするってのは性に合わねぇ。

誰かに世界を変えてもらうのも待っているっていうのも気が引けるし、ソレいつまでかかる?って話だ。

ならジブンから動いた方が話が早い。

 

 

気に入らないモンなら手っ取り早く力で解決して自分好みにしちまえばいい。

 

 

「…ハハ、ジブンながらサイッコーの案だこって」

 

ならどうしてやろうか。

これからのことを考えながらひとまずは眠ることにした。

…きっと今日は変な夢を見ないだろうから。




ほんのちょっぴり迫害‪√‬の因子が入っているかもしれないノベライズ。

ノベライズ版僕:だいぶ口が悪い。目つきも悪い。
でもトレーナーと歩んでいく中でその態度も少しずつ軟化していく。
このノベライズ世界でも"未来"のために世界を変えることに。
火事のあとから悪夢を見るようになるがその夢は時々、顔も見えない大勢の誰かに縋られる夢になるらしい。…まるで救いの、蜘蛛の糸のように。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。