さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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それはそれとして、ディープとハーツとおどうとエピの箔押しが欲しいので初投稿です()(現在55袋目に突入)。




怪物は檻の中

シルバーバレットは慕われている。

チームを率いるリーダーとして、または先輩として。

体格は周りに比べて随分と小さいまでも、その手腕は確かで。

時おりクラスメイトである【皇帝】から頼まれて、それとなく学園の細々とした問題を解決していたりもするが…。

 

「や、今日も元気そうだね〜」

 

にこやかに、朗らかに。

かけられる挨拶の声に片手をあげて返して。

まさに理想の先輩。

まさに理想の生徒。

 

『おはようございます、先輩』

「うん、おはよう。今日もいい天気だね」

 

にっこりと、穏やかに。

誰もが憧れる学園の人気者として、今日も一日が始まるのだ──と。

そんな思考を、誰もが持っている。

共通認識として。

ありふれた日常の一片として。

 

「……」

 

 

昔の話をしよう。

シルバーバレットというウマの話だ。

 

このトゥインクルシリーズという世界に足を踏み入れた誰もが、もはや常識のごとく知り得るようにシルバーバレットというウマの活躍期間は長かった。

同期や、ましてや後輩たちも遠にドリームトロフィーリーグに歩を進めている中でたった唯一といっていいほどにトゥインクルシリーズに在籍し続けて。

最後には───前人未到の栄光を引っ提げて勇退した。

『老兵は死なず、単に消え去るのみ』。

そんな言葉が似合う幕引き…。

 

けれど。

過ぎ去った老兵の、内に秘めたる眼光が、魂が。

未だ───輝き続けていることを知る者は幾許か。

獣が牙を研ぐように、その身が朽ち果てるまで。

静かに、しかし確実に研ぎ澄まされていく。

 

そうとも知らずに。

誰もが、シルバーバレットを慕う。

教えを乞うと快く受け入れ、 困ったことがあれば相談に乗ると親身に答えてくれる。

その誠実さは間違いなく本物で、確かではあるのだけれど。

その実、そのやさしさは───。

 

「……」

 

"怪物"であるのだ。

『無敵の弾丸』の名を有する癖に。

シルバーバレットというウマは。

 

 

待っている。

いつか、此処を開けてくれる誰かを。

舞台から降り、自分で自分を(いまし)めて、ひっそりと鍵のついた密室へと身を寄せた。

なにせ、"獣"なのだ。

獰猛な、"獣"であるからして、平穏な日常に飛び出すワケにもいかないだろう?

……いや、違う。

そうではない。

ただ単に、怖いだけだ。

いつか、またあの光景()を目の当たりにするのが恐ろしいのだ。

"怪物"は孤独を好むものだというが、それは間違いであるとシルバーバレットは思う。

だってそうだろう?

確かに独りきりでいることには慣れていたし、それこそが自分の在り方だと信じて疑わないけれど───それでも。

 

『バケモノ!』

 

そう言われて、嬉しい人間なぞ……。





僕:
シルバーバレット。
やさしい()
けれど自分で自分を閉じ込めたウマでもある。
満たされない闘争本能を「ダメだ」と抑え込んでいるものの、解き放ってくれる誰かを待っているらしい。
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