さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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繋がりがあったっていう。



いつかの日々

むかしむかし。

まだ、オグリキャップがカサマツにいた頃。

時おり関わる、先輩がいた。

その先輩は二歳年上だったのでそう頻繁に関わるわけでななかったが、顔を合わせるとそれとなく世話を焼いてくれる人であった。

あの頃のオグリキャップは、今のように道行けば人に囲まれるなんてことはなくて。

ただ一介の、どこにでもいるウマであった。

大勢の中の一員で、少し他人よりは健啖家なだけの。

 

「キャップ、オメェ本当によく食うなあ」

 

と、その先輩は呆れた風に言う。

そうだろうか、と首を傾げた。

確かに人よりは食べるが、それは普通にしていてもお腹がすくからだ。

たくさん食べておかないと力が出ないからで、別に食い意地が張っているわけではないと思うのだけれども。

 

「いやでもさ。ほら見ろよこの皿の量」

 

そう言って先輩が指さす先には、自分の食べたあとがあった。

積み重なる皿、皿、皿。

倒れて、割れないように先輩がそれなりの量になると返却口へ持って行ってくれているが、その皿の量たるや。

 

「うわぁ。……すごいな」

「いや凄いとかじゃなくてさ。これ全部一人で食ったんだぞ? しかもまだ食い足りねぇって顔しやがって……」

 

呆れた風に言う先輩だったが、しかしその表情はどこか嬉しそうだった。

そして自分はと言えば、別に大食漢というわけではなかったはずなのだが……。

いやでも確かに、これだけ食べてもまだまだ足りないなと思うことは(自分にとっては)よくある話だ。

そんなときはいつも、不思議な気分になる。

お腹いっぱいになっているはずなのに、満たされない。

()()()()()

そう、飢えている。

それはきっと、まだ足りないからだと結論付ける。

もっと食べたいという欲ではなく、もっともっと食べなくてはならないという気持ちだ。

 

「キャップはさ」

 

と先輩が言う。

 

「たくさん食べるから、強くなるんだろうなぁ」

 

そう言って先輩は自分の頭をポンポンと叩くように撫でるのだった。

 

そんな日々に転機が訪れたのは、唐突であり。

中央へと引き抜かれた自分を、先輩は朗らかに言祝いでくれた。

 

「そうか、中央か。なら───」

 

 

俺にはきょうだいがたくさんいた。

いや、今のように十人以上になるとは思わなかったが、それでも数が多かった。

だから───地方の、カサマツのトレセン学園に進学した。

上のふたりには「もったいない」と残念がられたが、そのふたりが中央に行った(後に二番目が地方へ移籍したとはいえ)となると、…家の資金的に、な?

中央に行った一番上のきょうだいの活躍は時おり耳にした。

故に。

 

「なら──()()()()()()()()っていうのに会ったら、クレイジイブラツドがよろしくしてたって言っといてくれ」





【狂気の血】:
クレイジイブラツド。
本当はツがッだけど。
父ヒカルイマイ、母ホワイトリリィ、母父ホワイトバック。
1983年生まれのカサマツ所属ウマ。追込み。
人呼んで『砂塵の稲妻』。
どちらかと言えば父似の黒さ濃いめの黒鹿毛。
コンスタントに強いというわけではなく負ける時は大敗で勝つ時はとことんぶっちぎるピンキリ。
まぁ名が体をあらわすように気性はお察し。
もしかすると僕のきょうだいの中で一番【白の一族】が出てる&父親似の走り方してる。
でも東海ダービー勝ってるし、もしかすると帝王賞とか東京大賞典とかも出て勝ってるかも…?
(また世界線によってはカサマツ所属のまま86JCを勝っていることも?)
ウマ世界ではカサマツ所属ということもあり、【芦毛の怪物】とそこそこの仲らしい。
なので後に妹が【芦毛の怪物】を家に連れてきた際には宇宙猫になったとか。
とはいえ信用してる後輩だし…と某銀弾みたいな超苛烈なシスコンモードには至らなかった。

種牡馬としては地方で上の中~中の上ぐらいを行ったり来たり。
でも父父や母父となってからが本番だったとか。
う〜ん、この血筋…。
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