バカ言うなよ、なァ?
幸せだったなぁと、ぼんやりと思った。
彼女から告白されたのは学生時代…とはいっても、彼女自体はその当時、遠にトゥインクルシリーズを退いてドリームトロフィーリーグに進んでいたのだから世間一般的にいうと大学生ぐらいの頃か。
『好きだ』と言われた。
友人関係ではもう嫌だと、言われた。
自分だけのモノになって欲しいと、出来ればその笑顔を独り占めしたいと。
僕よりもずっと大きなキミが、今にも泣きそうな顔で言うものだから、僕は思わず笑ってしまった。
『───うん、僕もキミが好きだよ』
それからは幸せだった。
彼女との交際は順調で、少し経ってトゥインクルシリーズからドリームトロフィーリーグに移籍した折に、僕らは同棲を始めた。
毎日が幸せで、彼女と一緒にいられるだけで嬉しかった。
だからかもしれない……僕が彼女に別れを告げたのはふたり、ドリームトロフィーリーグを大団円で勇退した頃。
彼女の実家に行った帰り道でのことだった。
「ねぇ、───別れよっか」
長年共に過ごした彼女は僕が世界で一番美人だと思っている実の母と負けず劣らずの美人で、だからそんな女性と付き合えた僕は世界一の幸せ者だ。
けれど───だからこそ、彼女には僕なんかよりももっと相応しい人がいると思ったのだ。
───…どうして。
彼女は泣いていた。
綺麗な顔をくしゃくしゃに歪めて、鼻水まで垂らして子どものように泣きじゃくっていた。
そんな彼女に胸が痛んだけど……それでも僕は言うしかなかった。
「キミが悪いわけじゃないよ」
───じゃあどうして!? なんで別れなきゃいけない!!
それはそうだろう。
僕らに喧嘩なんて天変地異ぐらいの確率だったし、そもそも喧嘩をするようなこともなかった。
僕らはずっと仲良しで、だから別れる理由なんてひとつもないはずなのだ。
「キミはね……僕みたいなのよりも、もっと相応しい相手がいるんだよ」
───そんなこと知らない!
彼女はそう言って僕を胸に抱き込んだ。
そのため抵抗しようとしたがあれよあれよという間に家に連れ帰られて…。
*
はじめは、夢だと思った。
『───うん、僕もキミが好きだよ』
自分の告白を無下にはできなかった故の返答だと分かっていたけど、天にも昇る心地で。
一日一日を積み重ねて、気づけば何年も寄り添うような関係になって…今更?
「ぼ、僕みたいなちんちくりんに付き合ったって意味ないって!」
何言ってるんだコイツは。
自分たちが共にあることは公にしていないだけで関係者・第三者含めみんなが知っているのに。
あなたが公にするのを嫌がるから表向きはただの友人として振る舞ってるけど、あなたは遠に…。
「キミにはもっと相応しい相手がいるんだよ」
───知ったような口を利かないで欲しい。
自分がどれだけあなたのことを愛しているのか知らないくせに。
私はあなた以外と添い遂げるつもりなんてない。
だから、
僕:
シルバーバレット。
誰かの想いに答えた世界線。
10年くらいは余裕で一緒にいる。
が、御相手のご実家に訪れた際に「ウチの子でホントにいいの?」の探りの受け取り方をおもくそファンブルして今回。
やっぱ僕にはもったいないんだ…。
御相手:
ぜってぇ離さねぇかんなぁ!!!!!!!