さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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だって、そう言われたから。




罪深き人

「付き合って」と言われたから。

今日も今日とてシルバーバレットは誘われるままに遊びに行ったり食事に行ったりする。

相手はその日によって様々で。

ただ、一つだけ変わらないのは、日中を共に過ごしても終電までには帰ること。

またそれと同じくして、家に泊まったり泊まらせたりもしないこと。

 

───泊まっていけばいい。

「いいや、遠慮しておくよ」

 

他人の家で寝るなんて、気が休まるもんも休まらないじゃないか。

とはいえ、僕の家も他人を招くことができるほど小綺麗ではなし。

 

「だから、さ」

 

そう言ってシルバーバレットは笑う。

その笑顔に、誰も何も言えなくなる。

だって、このウマの機嫌を損ねては、もう誘いに乗ってもらえなくなるかもしれないから。

 

「じゃあね」

 

 

きっと、察しのいい方は気がついていらっしゃるだろうがシルバーバレットに誘いをかける全員が全員…シルバーバレットの『唯一』だと、思っている。

あの、どれだけアプローチをかけようが無しの(つぶて)だったウマに、真っ正面から単純に、想いを告げたところコロッと了承が出て。

そこから、親密な付き合いが始まった。

 

そう、誰もが思っているのだ。

シルバーバレットの『唯一』は自分であると。

そのため、いいお店に連れて行ったりするし、プランを練りに練ったりする。

相手との共通点を増やそうとするのは当然だし、そのためにたくさんの準備をしている。

だから、シルバーバレットから何か文句を言われることなど、いままでなかった。

お互いに気遣って、相手の喜ぶこと、喜ばせられることは何かなぁ、と思って行動する。

ウキウキと盛り上げる話をするのだ。

それなのに、───おかしい。

何かがおかしい。

自分が何か致命的な間違いでもしたのか?

いや、それよりも重大な"ナニカ"がある。

どこかボタンをかけ違っているかのようで、それでいて最悪なほどの嫌な気配。

 

…わかっている、わかっているのだ。

なんとなくわかっているのだ。

なんとなくで感じているのだ。

自分がその違和感を理解してしまっているのは確実で、 仮にシルバーバレットにそのことを指摘して回答があったとしても、 その回答を心の底から非難することはできないことを予感しながら、シルバーバレットにそれを言うことだけはないことを理解しながらも。

どうしても認めたくないのだ。

いっそ、もうこれ以上の深入りはすべきではないかもしれない。

……でも、自分を受け入れてくれたあの顔が脳裏を過ぎってはどうしても諦めきれないのだ───。





僕:
シルバーバレット。
何も気づいていない。
気づいてないから、答えを出さない。
約束されし激ニブ。
なのでもっとハッキリ言った方が、よかったですね。
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