さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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外と内とでギャップあるのいいよねって…。



やさしいこ

「おじいさま」

「おう、なんだ?」

 

外では年相応に『ジジイ』と言う孫だが、こうして身内だけとなると今もなお幼き日より変わらない丁寧な呼び方で祖父を呼ぶ。

 

「お忙しいところすみません」

「なに、気にすンな。可愛い孫のためならジジイはいくらでも時間を割くぜ!」

「……ありがとうございます」

 

孫の礼に気を良くした祖父は上機嫌で続ける。

 

「それで、今日はどうした? ……まさか、とうとう俺とお前の親父みたいな親友でも出来たか?」

「いえ、その……」

 

祖父の冗談めかした言葉に、彼は歯切れ悪く言葉を詰まらせる。

そんな珍しい反応に祖父は眉を上げた。

 

「なんだ?どうした。言ってみろ」

「はい……その、実は……」

 

そうして彼は祖父に『とある人物』との邂逅について話していく。

祖父は孫から語られる内容を興味深そうに聞きながら、時折質問を挟む。

少々の時間をもって、話を聞き終えた後、祖父は顎に手を当てて考え込んだ。

 

「なるほどな……つまりお前はそのクソガキと仲良くなりてぇってことか?」

「ク、クソガキ…。……いえ、そこまでは考えていませんが……」

 

彼の返答に祖父は少し眉を顰める。

祖父からしてみれば仲良くなりてぇならそのまま突っ込んでいけばいいじゃねぇかと思うのだが、この孫はどうにも祖父の親友である孫の父によく似ている。

近くにいるようで、一歩線を引いた後ろにいるような。

心の奥の、やわい部分に触れられない、触れさせない───。

 

「おじいさま?」

「あぁ、いや……。まぁ、いいさ。お前がそのクソガキと仲良くなりてぇなら俺ァ何も言わねぇよ」

「……ありがとうございます」

 

祖父の返答に彼は少し複雑そうな顔をしながらも感謝の意を示す。

祖父はそんな孫の表情を見て小さく笑った後、バシリと彼の背中を叩いた。

 

「ッ!?」

「なぁに辛気臭ぇ顔してんだ!いいか?お前は俺の自慢の孫だ!だからよ、俺が太鼓判押してやる!」

 

突然の発破に目をぱちくりと瞬かせるも彼はすぐに「はい!」と力強く頷いた。

 

(そういう思い切りのいいところは、俺似かもなぁ)

 

 

トレセン学園に入るにあたって、俺は祖父を真似た。

いや何も憧れ兼反抗期ってわけではなくて、それまでの培ってきた丁寧な口調とかそういうのが同年代と関わるにはどうにも合わなさそうというか、浮いてしまいそうだなあと思ったからであって!

……ゴホン。

ともかく、俺は祖父を真似て一人称を『俺』にした。

そして話し方も砕けたものに変えてみたけど、これが案外上手くいった。

一回、学園に入学する前の喋り方をしたら『熱でも出たか!?』と騒がれたので……ま、まぁ、け、結果オーライってことで!!





孫:
祖父と父が親友同士の間柄のウッマ。
元々の素は父母から躾られた通りに丁寧口調だし、所作も洗練されている。
だがトレセン学園に入学するにあたって祖父を真似た結果、微妙に素に祖父っぽさが混ざってきたとか?
多分トレセン学園入学前は良いとこの、幼稚園から大学まで一貫の学校に通ってそう。
でも見た目が祖父の血筋に似てるから…まぁ、うん。
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