史実から海外に種牡馬として渡ってる感じです。
あの血であるが故に。
そのウマはぼんやりとしていた。
生まれが生まれだというので皆から陰口を言われていたが、当の本人は気にせず昼寝をしたり鼻先に蝶を止まらせたりしてぼうっとしていた。
俺とソイツが出会ったのは、名家御用達、国の中でも一流中の一流、名門と名高いトレセン学園の入学式である。
本来なら一番初めに入場した生徒が入学試験首席として壇上に上がり、『これから頑張ります』のような言葉を述べるのだが、その言葉を述べたのはソイツではなく…ソイツの隣にいた次席の俺で。
「…ッ、」
それからも、俺はソイツに負け続けた。
座学はソイツがテキトーなところで手を抜く癖があったからよく勝ってたけど、実技ではとんと。
どんな走り方、作戦を講じても最終的にゴール板を先に通過しているのはソイツで。
誰もソイツに敵わない。
敵わないから、唯一取れる揚げ足をとってみんながソイツを乏しめる。
ソイツの母は、名の知れた名家のご令嬢であり、競走バとしても名を馳せたという。
けれど、ソイツの母が伴侶として選んだのはどこの誰ともしれないウマの骨で、並び立つには見るに堪えないと…。
だが、と思う。
その『ウマの骨』と称されるソイツの父をハッキリと見た者は誰もおらず。
引く手数多だった、誰に口説かれても首を縦に振らなかったソイツの母が選んだ相手に醜くも嫉妬したウマが多かったのだろう。
またソイツの母も強かったというので女の嫉妬も込みか。
「…はァ、」
*
その子どもはどちらかと言うと父親似であった。
ほわほわとしていて、寡黙。
誰かと競うよりもひとりで遊ぶことの方が好きで、けれど負けず嫌いで。
「トレセン学園に行きたい?…そっか」
子どもの父の名は『カイビャク』という。
ここいらの生まれではないらしいが、おいそれとどこの生まれかと言えない立場(本人談)なのでこのウマにいちばん信用されている子どもの母でも詳しいことはよく知らない。
馴れ初めとしては美術館を観光していたカイビャクに一目惚れした母が、カイビャクが何も疑わなかったことを良いことに宿として己の家の離れを提供してあれよあれよと……。
「えへへ…。うん、███くんがそうしたいならパパ応援するから!お母さんの説得は任せてて!!」
・
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カイビャクには、きょうだいがたくさんいる。
上に三人、下に九人。
とはいえ、カイビャク自身は普通のウマである。
未勝利戦を勝ちきれなかっただけの。
けれど、母方の血筋ゆえか、それとも
明かしたが最後、きっと実家に迷惑をかけることは確実で。
(アア、めんどうだなあ…)
【開闢】:
カイビャク。
83年生まれ。
海外で暮らしている。
母方の血筋ゆえか、それとも彼の長兄の成した偉業ゆえか、おいそれと自身の過去を明かせなくなったウマ。
見た目が長兄が順当に成長していればこうだっただろうみたいな見た目で分かる人には分かる容姿なので基本婿入り先に引きこもってるとか。
【開闢】の長兄:
金輪際現れない、探そうとしても見つからない一番星。
刹那現れ、みんなの脳を焼いていった。
今でも求めてる人がいるらしい。