『友だち』だからね。
シルバーバレットは好かれている。
それはクラスメイトなどにもそうだが…"お友だち"、とやらにも。
シルバーバレットは元からあまり他人とは関わり合いにならないタイプのウマだが、他人とは関わらない=人間以外と関わっていいというわけではないのだ…多分。
「バレットさん」
「あ、やっほー」
気楽にヒラヒラと手を振る件のウマにメジロマックイーンはため息を吐く。
「マックちゃんだからいいよぉ」と、特に親しい相手にしか許さないという下の名前呼びをメジロマックイーンに許す彼女は、それはそれは…どうにも体感温度が1、2℃低い場所にいた。
「貴女、またそんな薄着で……風邪を引きますわよ?」
「だいじょーぶだってぇ。ほら、僕頑丈だし」
ケラケラと笑いながら言う彼女だが、メジロマックイーンは知っているのだ。
彼女の周りがいつも心配しているのを。
そしてそれを彼女自身は認識していないことを。
「……」
実のところ。
シルバーバレットがいる場所を、見つけることができるのは───メジロマックイーンただひとりで。
それ以外の人々はすぐそこ、角を曲がれば…という場所にシルバーバレットがいるのにも関わらず、「どこだろう」と素通りしていくけれど。
何故だか、メジロマックイーンだけが彼女を見つけることができるのに、彼女は「マックちゃんならいいんだって」と、メジロマックイーンが見つけるまでは頑なに動こうとしない。
「ほらぁ、マックちゃんってば」
「……仕方ありませんわね」
シルバーバレットの手を引いて歩き出すと、彼女は嬉しそうにメジロマックイーンの手を握り返した。
「えへへぇ……僕ねぇ、マックちゃんの手好きなんだぁ……」
「またそんなことを言って……"お友だち"に聞かれたら嫉妬されますわよ?」
「だってホントなんだもん!」
ぷぅと頬を膨らませながら言う彼女に苦笑しながらも、メジロマックイーンがその手を離すことはない。
・
・
・
"お友だち"と僕との仲は今日も順調だ。
授業を受けている間は何とか我慢してくれるようになったってのがこんなにも平和だとは。
…前は、授業中であれ何であれ引っ張り込まれて、でも教室に戻ったらちゃんと教室にいて授業受けてた扱いになってたんだよな。
……アレ〜?
「もしかして、意外とチカラが強かったりする…?」
見上げてそう問うと、"お友だち"はくつくつと。
「もう」と軽くはたくフリをすれば『降参』のジェスチャーをされて仕方ないにゃあなんて。
「ふわぁ〜あ、ねむ…」
僕:
シルバーバレット。
仲良しの"お友だち"がいるらしい。
【名優】:
メジロマックイーン。
唯一僕のあれそれに気づけるウマ娘。
どうにも『許されている』らしい。