『月』も『太陽』もおこがましい。
キミが、他のみんなみたいに僕に焼かれればよかったのに。
「たしかに、キミは『太陽』だったよね」
肯定こそするものの、その目は僕になぞ焼かれてはいない。
いや、焼かれてはいるのだが、その目を焼いたのは───僕ではない。
僕に一番近かったキミ。
近かったからこそ、僕に焼かれて欲しかった。
でも、キミは焼かれなかった。
「ねえ」
僕はキミに問いかける。
「キミは何を憎んでいるの?」
「……憎む? ……僕が?」
キミは僕の質問の意図がわからないようで、ただオウム返しにそう口にした。
「うん、そうだよ」
「……憎い……ああ、そうだね……」
キミは少しだけ考えるような仕草をした後、…ゆっくりと口を開く。
「僕は────」
*
たしかに。
あの時代にいた者は、みんな『
けれど。
「ちょっと眩しい星だよね」
ただ、ひとり。
誰も彼もが焼かれるのに、一番近くにあるはずの僕は。
「でも、僕は太陽じゃない」
そう。
『
だから、僕にできるのは。
「僕はね、月が好きなんだ」
遠い昔に見た、記録映像。
ペイル・ブルー・ドットみたいな小さな姿。
「月は、太陽みたいに眩しくはないけれど」
それでも。
「とても綺麗だよね」
だから。
僕は『
・
・
・
あの頃。
あの頃。
その時分を思い出すと、ただただ『太陽』と『月』を思い出す。
寄り添うようにいたそのふたつは、憎らしいまでにお似合いで。
しかし、『太陽』には熱すぎて触れられぬものだから、みんながみんな『月』に焦がれた。
『太陽』が燦燦と、けれど皆を平等に焼くのなら、『月』はキラキラと皆をやわらかく照らすから。
『月』ならば触れられると。
『月』ならば触れてもいいと。
そうして、その輝きを奪おうと躍起になって───結局、誰もそれには触れられなかった。
「……」
やわらかく見えた『月』は、その実ひどく冷ややかだった。
遠景しか知らぬものはそのやわらかな光に焦がれるが、近づいた者ならすぐに分かる。
やわらかく見えたのは遠くから見ていたからであって、近づけば近づくほど、その銀色が冷たく身を貫く。
それは、太陽のよりも───。
「……」
でも、『月』は輝く。
『太陽』みたく輝こうとする星々たちを眺めながら。
眺め、導となりながら。
キラキラと、キラキラと輝く。が、
「『月』にも『太陽』にも────なれないよ、僕は」
当の本人はと言えば。
『太陽』に一番近かったけれど焼かれなくて、みんなからは『月』と見られているけどそれもおこがましいと思っている【銀の祈り】の話。
【銀の祈り】の『太陽』も『月』も、ねぇ…?