そこには何も。
ただ遺るはまた、灰になる者共ばかりなり。
シルバーバレットというウマは、どこまでいっても『太陽』であった。
遠目から見て惹かれて、触れようとすれば焼かれて。
飛んで火に入る夏の虫であり、誘蛾灯に群がる羽虫のような誰かたちは、どうしようもなくシルバーバレットの才能に打ちのめされ、いつしか憧れは妬みとか虚しさとかに相成って、シルバーバレットから離れようとするけれど…。
「どうして、」
瞼を閉じたら、ぼんやりとした様々な色の光を見る時のような。
そんな心地で、シルバーバレットの光が離れない。
その光を離すためには、もはやこの眼を抉りだし、盲になるしかなくて。
「どうして、あなたは……」
シルバーバレットの『光』が眩しすぎて、直視できない。
だから、憧れた誰かたちは、誰も彼も目を逸らす。
それでも……。
「どうして、あなたは……そんなにも輝いていられるんですか?」
その疑問に答えられる者はいなくて。
ただ、シルバーバレットは今日もまた輝き続けるのだ。
*
『
『
けれど、あなたは『
いつかのよだかがそうであったように、生き物というものはすべからく太陽に焼かれるのです。
近づこうとすればするほどにジリジリと焦がされ、近づけば近づくほどにその輝きは増していき、やがて燃え尽きて灰になる。
そう思うと。
『
『
『
それとも……。
「
あなたの輝きが眩しすぎて、直視できない。
だから、憧れた誰かたちは、誰も彼も目を逸らすのです。
でも。
グルグルと私たちの中に渦巻く炎を、私たちはどうすればいいのでしょう。
『
心臓から始まり、手の、足の指の先の先まで血液がごとく渦巻くこの熱を。
水でも、風でも、光でも、音でも、温度でもないこの熱を。
私たちは、どうすることもできないまま、ただ手をこまねいて見ていればいいのでしょうか。
「わたしは、『
そうは言っても、生きとし生けるものは『
「嗚呼、嗚呼」
きらい、きらい、きらい、
「なのに、」
『
シルバーバレット。
ただのウマ。
けれど『太陽』。
みな等しく焼き焦がし、誰のことも見ない。
ただ光り輝いている。
だって、勝手に近づいて焼かれたのはそっちの方なので。