さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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そこんとこ、分かっておいて。



あなたが『特別』

「やっほーレイちゃん」

「…何やってんだ、ジジイ」

「ジジイだなんて酷いなあ」

 

クスクスと笑う初老のウマにシルバアウトレイジは呆れた目を向ける。

見た目よりもずっと歳のいっている初老のウマは本来ならこうもひとりで出歩いてはいけないはずで。

 

「ジジイ、自分の立場わかってんのか?」

「わかってるさ、だからこうして隠れてるんじゃないか」

 

悪びれもせずにそう笑う初老のウマにシルバアウトレイジは鼻を鳴らす。

 

「それで? 今日は何の用だ」

「なに、ちょっと暇だったから」

「…暇で抜け出してくんなよなあ」

「てへっ☆」

 

普段は穏やかだが、時折今のような茶目っ気を出すので油断できない。

 

「で、レイちゃんは何やってるの?」

「俺か? 俺はちょっと散歩」

「ふうん」

 

シルバアウトレイジの言葉に初老のウマは興味深そうに目を細める。

 

「……なんだよ」

「いや、珍しいと思ってね」

「何がだよ」

「レイちゃんがこうやってひとりで行動してるのがさ」

「………………」

 

その言葉にシルバアウトレイジは答えない。

そんな様子の彼に初老のウマはどこか微笑ましげに笑う。

 

「もしかして僕が来るのが分かってたりした?」

「さあな」

 

まあ、そろそろだろうかとは分かっていた。

実の子どもや孫は「いい子たちだから心配してないんだ〜」という癖に、シルバアウトレイジのことだけは「なんか心配だから」とこうして様子を見に来るのだ。

 

「心配性なジジイだな」

「そうかい? まあ、レイちゃんだからねえ」

 

シルバアウトレイジの言葉に初老のウマはカラカラと笑う。

そんな様子にシルバアウトレイジは小さくため息をつくと、そのまま歩き出す。

 

「おや、帰るのかい?」

「……そろそろ戻らねえとアイツがうるせえからな」

 

そう言って歩き出そうとするシルバアウトレイジを初老のウマは呼び止める。

 

「ンだよ」

「……いや、怪我に気をつけてね」

「ン」

 

 

「…先輩、誰と会ってました?」

「お前には関係ないだろ」

「…」

 

何で部屋に入ってきて一発で俺が誰かと会ってきたと分かるんだお前はと、一瞬物申しそうになったが口を噤む。

だってその後輩-【飛行機雲】の顔が本当の本当にヤベェ顔を晒してらっしゃったので。

 

「あの、先輩」

「なんだよ」

「その……」

 

普段の生意気さはどこへやら。

何か言いたげな様子で口をもごつかせる【飛行機雲】にシルバアウトレイジはため息をつく。

 

「言いたいことがあるならはっきり言え」

「……先輩は、僕のことどう思ってます?」

「どうって……まあ、手のかかる後輩だなと思ってるけど」

 

シルバアウトレイジの言葉に【飛行機雲】が顔を曇らせる。

ああもう、めんどくせぇ。

 

「…ん」

「えっ、わっ、ちょっ、先輩!?」

「"今の"、お前にしかしねぇから…それで分かっとけ阿呆」





【銀色の激情】:
シルバアウトレイジ。
歳いってるのに無断で抜け出しては「キミのことが心配だから」してくる親族のジジイに「帰れ!」をよくする。
それはそれとして同室の後輩が最近何か…う〜ん?となっているとかどうとか。
でもまあ、約束されしタラシで何とか出来るので…ハイ。
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