さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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普通に生きているつもり。



無自覚に過ごしている

昔から、こうは言っちゃあ殴られたりすると思うが、よく告白されるタチだった。

自己判断では何で好かれるんだろうなァ?と首を傾げるしかないのだが、小・中・高と区分けしても告白された数が両手両足の指の数を超えているのだから、これはもう筋金入りと言えよう。

だが、その悉くを俺は断ってきた。

理由は単純で、誰かと付き合うという行為が面倒だったからだ。

……いや、違うな。

それはただの建前だ。

 

(俺、そういう風に言ってもらえるほどの人間じゃねえし…)

 

そう。

端的に言うと「幻滅されたくない」が一番近しいか。

俺はやるべきことをやっただけで、告白されるほどの善きことをやった覚えはないし、感謝されたいと思ってやったわけでもなし。

……いや、これはこれでアレだな。

だが、本当にそう思うのだから仕方ないだろう。

俺は誰かに好かれる資格も理由もないのだから。

 

(それに、俺なんかよりもっといい奴なんていくらでもいるしな)

 

…と、まあ、こんな具合に告白を断ってきたわけなのだが……そんな俺が今、人生最大の危機を迎えていたりする。

別に、命の危機とかそういうことではなくてだな。

 

「あの~先輩?聞いてます?」

「…………」

 

……そうなのだ。

俺としては後輩-【飛行機雲】を先輩として可愛がっていただけなのに、なぜか現在進行形で現状なのだ。

……いや、何で?

どうしてこうなった?と思った時にはもう既に。

 

「先輩?」

「……あ、ああ悪い。ちょっと考えごとしてた」

「もう!ちゃんと聞いててください!」

 

ぷんすかと怒る後輩の飛行機雲。

いや、可愛いなお前。

そんな感想はさておきだ。

 

「で、何の話だっけか?」

 

俺はとりあえず話を戻すことにした。

すると【飛行機雲】は少し頬を膨らませてこう言ったのだった。

 

「だーかーらー!先輩は安請け合いし過ぎって話ですよ!!」

「安請け合い?」

 

はて?何のことだろう。

俺にそのような覚えはないのだが……。

 

「そうです!先輩、この前も自治会の手伝いとかしてたじゃないですか!今はそういう役じゃないのに!」

 

ああ、なるほど。

それのことか。

いやまあ確かにそれは事実なのだが、でもな?

 

「いやでも、あれって俺が自分からやるって言ったことだし……」

 

そうなのだ。

あれは俺の判断でやったことだし、そもそもそれを言うなら【飛行機雲】だって似たようなものではないか?

 

「とりあえず!明日は一日まるっと休みましょう?ふたり部屋でゴロゴロしてればいいじゃないですか」

「ん〜」

「約束ですよ!?」

「はいはい」





何やかんや頼まれたり自分で首突っ込んでったりした結果、頼られることが多い【銀色の激情】とその頼られっぷりに薄らと香る好意に牽制しまくってて結構大変な【飛行機雲】の話…でした!
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