さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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溶け合う。



ぐるりぐるぐる

「キミなら、いいよ」

 

ぼんやりとした声だった。

泡沫のような、確固とした芯のない言葉だった。

けれども、向けられるその目が本当に真剣で、伸ばされる手も求めるように伸びてくるものだから、すぐさまその手を絡めとってしまったのは…まあ仕方がないと思う。

 

「いいの?」

「いいよ」

「本当に?」

「うん」

 

こくりと、小さく肯の頷きが返されて、ぱたりと無防備になった体。

「元から、そういう約束だったじゃない」と漏らされる吐息がどこか甘くて、くらりと眩暈がした。

 

「ねえ、」

「……なに?」

「僕ね、ずっと……キミに会いたかったんだと思う」

「……うん」

「だから、今すごくうれしいの。……やっと会えたなって、思ってるんだよ」

「……そっか」

「うん。……だからね、もっといっぱい触れ合いたいなって思うんだけど……ダメかな?」

 

……ああもう!

そんな声でそんなこと言うのは反則だ!!

 

 

きっと、ずっと求めていた相手に触れられるというのはなんと幸せなことだろうと、そう思う。

 

「…楽しい?」

「うん」

 

自分より大きな手をフニフニと揉む。

指も手のひらも本当に大きいし、立派だ。

 

「キミの手、大きいね」

「そう?」

「うん。……僕も男なのになあ」

「……僕は好きだよ。この手も、キミの声も」

「そっかあ……」

 

それはなんだか照れてしまうなと、たまらず視線を逸らした。

 

「ねえ、もっといっぱい触ってもいい?」

「……いいよ」

 

 

「くすぐったいよ」とくすくす笑う声がする。

 

「だって、本当に気持ちいいんだもの。ずっと触れていたいなって思っちゃうんだ」

 

白く、モチモチな肌。

自分とは違う手。

 

「キミの指って綺麗だよね」

「そう?」

「うん。……僕ね、この指がすごく好きなんだ」

「そっかあ……」

 

一本一本をなぞり、その形を確かめるように触れていく。

それにくすぐったそうにされるけれど、でも、本当に好きなのだ。

 

「キミの手はね、あったかくて優しいんだよ」

「そう?」

「うん。……僕も、ずっとキミのこの手に触れていたいなって思ってたんだ」

「……そっかあ」

 

どこか照れたような声がする。

それに小さく笑ってから、またその肌に手を伸ばした。

 

 

このままひとつに溶け合えたらいいのになあと、思ったことは一度や二度ではない。

度重なる相対で互いに理解を深めてしまった果てに、ぐちゃぐちゃに混ざり合うような、でも混ざり合えない矛盾を起こしてしまって。

 

(僕ら、液体だったらよかったのにねぇ)

 

ぐるぐるかき混ぜられて、それだけで混ざれたら…。





相似関係…かも?
もしくは行き過ぎたデカ過ぎ感情定期。
溶け合いたい、それだけ。
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