さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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『アイツのどこが好きになったんだ?』



びみょ〜に、頬膨らましてそう

「おう、バックのヤツはいるかい?」

「ぁ、え…いや、いないッス」

 

畑仕事を終え、土とかで汚れた服をいそいそと脱いでいるとガラガラと玄関の引き戸を開けて現れたそのウマに俺は思わず困惑の声を上げた。

勝手知ったるとでもいうようにそのウマは「そうか」とひと言告げるとそのまま家の中に上がり込み。

 

「よ、リリィ嬢。今日も偉ぇ別嬪さんで」

「ぁ?…あぁ、ザンさんか。お久しぶり、親父はいまどっか行ってるぞ」

 

真剣に縫い物をしていたらしい彼女-ホワイトリリィに話しかけては普通に応対してもらっている。

…俺が話しかけたら「あっち行ってろ」って睨むくせに。

 

「いや、今日は嬢ちゃんに用があってな」

「私に?」

「あぁ、ちょいと街まで出ねぇか?うまいもん食わしてやるからよ」

「……まぁ、ザンさんが言うなら……」

 

ちらりと俺の方を盗み見るようにしながら何やら渋るホワイトリリィにザンさんが何か耳打ちをすると彼女は途端に顔を赤く染めて俯いた。

なんだぁ……?

その様子を見て、堪らず男を睨みつける。

誰がいずれ自分の伴侶となるオンナにちょっかいを出されて喜ぶものか。

 

「じゃあ、嬢ちゃん借りてくぜ」

「……あんま遅くなんねぇから。あ、親父に『ザンさんと街の方に行ってくる』つっといてくれ」

 

俺の視線に気が付いた…"ザンさん"とやらはニヤリと笑ってホワイトリリィの肩に手を回すとそのまま外に連れ出して。

……なんかすげぇイラッとした。

 

 

「で、なんでまた急に?」

 

街までやってくると、早速ホワイトリリィはザンさんにそう問いかけた。

まぁ、どうせ答えはわかっているが一応の確認だ。

 

「いやなぁ、」

 

くつくつと心底愉快そうに笑う相手の弁慶の泣きどころを一瞬蹴りたくなったが何とか耐える。

いくら恋バナが肴になるとはいえ、彼女の父であるホワイトバック(娘溺愛)から愚痴…というよりかは泣きが入る話をされているとはいえ、からかわれるのは…嫌だ。

 

「だからこんな美味いメシ食わされても許さねぇんだからな!!」

「へーへー。美味しいようで何よりだ」

 

プンスコとしながらも、モチモチとご飯を食べるホワイトリリィはザンさんにとって、ある意味、娘みたいなものだった。

まだ小学生に入る前からずっと見てきた子であるからして、その成長を喜びつつも、やはりどこか寂しくも感じるのだろう。

 

「で、嬢ちゃんよ」

「ん?」

「最近どうだ?なんか悩んでるとかねぇか?」

「……特にないが?」

 

そう答えるホワイトリリィにザンさんはニヤリと笑ってみせた。

そして彼女を見やりつつ告げる。

 

「そうかぁ……じゃあ」

 





【電撃の差し脚】:
ヒカルイマイ。
あんま他人に興味なさそうなので、会っても、いずれその名を知っても「へぇ」ぐらいで終わらせそうだなと。
とはいえ【白百合】と親しくしている姿にはジェラ…っする。

"ザンさん":
ホワイト父子の馴染みの装蹄師。
ホワイトバック(の脚)が一番好みだが、だがそれはそれとしてホワイトリリィのことも幼き日から成長を見守ってきたのもあって大事らしい。
けど、からかうところはからかう。
でもやりすぎるとホワイトバックさんに怒られますよ…?

「ザンさんなんて嫌いだァ!」
「えっ、ちょっ、待っ!!」
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