普通にしているつもり。
「えぇ…?」
僕-シルバーバレットがURAの裏のボスになったのは子どもたちの大半が巣立ち、自由になった頃だった。
まあURAの裏のボスと言っても、やることは人知れずの監査…みたいなものだ。
そもそもが僕の…高祖父?さんぐらいが戦時中に賭けレースをやってて、そのノウハウを戦後に教えてたら、気がつくとURAの裏のボスになったという……。
「監査って言われてもさあ…」
聞くに、これまでも代々一族の人たちがこうやって監査していたらしいが。
でも僕は自分で言うのもなんだが『伝説』ってヤツだ。
顔が効きすぎる。
「こんにちは〜」
久しぶりに昔に作ったオーダーメイドのスーツを着て、URAのオフィス内を歩くが特段いつも通りっぽさそうなんだよ〜…。
「…とほほ」
*
これまでURAの理事長であったシンボリルドルフの引退と同時にやって来たのは───
元々現役時代の功績から理事長の座を打診されていたが「ルドルフの方がいいよ」と断っていた。
だのに、シンボリルドルフ理事長の引退と時を同じくしてそんなウマがやってきたのだ。
…何かあると、思わない方がおかしいだろう?
「ただの編纂部所属ですから…」
当の本人はそう言うが、シレッと隠し通してきた不正の、図星の図星を突いてくるので得体がしれない。
何を知っているのか、そもそも何も知らないのか。
ルドルフ理事長から何か密命をもってやってきたのか。
……それとも本当にただの編纂部所属なのか。
「んえ…。ココ、今の人たちからはこう見られてるのか〜…恥ずかしいな」
・
・
・
「キミの手腕には惚れ惚れするよ」
「何が?」
僕のURA入りと同じくしてURAの理事長から退いたシンボリルドルフと食事をしていた折。
しみじみとそう言われたのに首を傾げればクスクスと笑われる。
自分としてもただただ配属された編纂部で楽しく仕事してただけで…本来の監査の仕事はゴニョゴニョ…。
「…私では見つけることのできなかったあれやこれやが、ね」
「う、うん?」
「キミのお陰でURAは更に発展していくだろう」
「それは……何よりだけど……」
シンボリルドルフが何を言いたいのかイマイチわからない。
そんな僕の反応にまたクスクスと笑った後、ルドルフは真面目な顔をした。
「……だが、同時に疑問もあるんだ」
「なに?」
「キミは本当に編纂部所属なのか?とね」
「……」
……まあ、そりゃそうだよなあ〜。
「ンなこと言ったって、僕もう老人だぜ?フツーの仕事なんてできないっての」
「ふむ……。そうか」
シンボリルドルフは納得してくれたのか、それ以上は何も聞いてこなかった。
(というか編纂部自体、メンバー全員ウチの一族だしなあ。編纂部って名の監査役っていう…)
僕:
シルバーバレット。
URA編纂部…という名の裏の監査部ボス。
フツーにしてるだけで悪い人達がビュンビュン釣れていく。
本人としては普通にしているつもりで、何もそれっぽい仕事してないと思っているらしい。