さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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まあ目からして狂気なんでね…?



怖い?

大概の人は僕の祖父を怖がる。

そりゃあまあ○‪✕‬(マルバツ)ゲームの枠線みたいな傷を顔に持ち、また身体中にも傷のないところを探す方が難しいウマだからそうなるのも無理はないが。

だが僕ら家族にとっては多少溺愛しすぎるきらいはあるけれど、頼りがいがある優しい祖父なので、周りから『怖い』と言われると首を傾げるしかないのだ。

 

「おじいちゃん、やさしいのにね」

 

そうボヤくと祖父はやさしく僕の頭を撫でた。

背筋をシャッキリ伸ばしている状態でも父より小柄な祖父はどちらかと言うと孫である僕と体格が近く、その性格と(傷を差し引いた際の)見た目の若々しさも相まって、時折補導されたりするらしいが。

 

「おじいちゃんはどうしていつもそのかっこうなの?」

「この格好?…まあ、慣れてるからネエ」

「はしりにくいのに?」

 

祖父はいつも着物だった。

とはいえ僕らもそう動くことがなければ着物を着ていたが、アクティブに動くとなれば着物は…その、動きにくい。

 

「慣れればどうってことないさ」

 

そうは言うが、着物で走ったり喧嘩するのは大変だろうに……。

まあ祖父の身体の作りが常人と違うのだと言われればそれまでなのだが。

祖父はとにかく色んな意味で規格外なのだ。

 

「さて、そろそろ帰ろうかネエ」

 

そんな祖父の言葉と共に僕は祖父と手を繋ぎながら帰路に着いたのだった。

 

 

彼こと、ホワイトバックの顔の傷はなるようにしてなったものだった。

『なったからには仕方がないか』という諦めで、そもそも本人としても『顔に(キズ)ってかっこいいよネ!』と特段気にしなかったので、普通にしていた。

ホワイトバックは祖父が祖父だったので往々にして人質として狙われやすく、顔にキズがつく前はそれはそれは愛らしい顔立ちだったので祖父関係以外でも攫われかけていた。

しかし、顔にキズがついてみればどうだ。

キズがつく毎に狙われる頻度が下がっていった。

それをホワイトバック自身は『周りに集ってくるヤツが減って気楽ダナ〜』と呑気に思っていた。

けれど、

 

「よォ、」

「あ、ザンさん」

 

ただ出歩くだけで初対面には避けられるほどになり、親しげに話しかけてくるのは昔からの知り合いだけだというのに。

 

「元気か?」

「ン」

 

何故か、この"ザンさん"だけはホワイトバックに話しかけてくる。

 

「ザンさんは?」

「俺か?俺は元気だよ」

「……そう」

 

ホワイトバックは"ザンさん"が苦手だった。

そもそも、ホワイトバックの家族以外は皆彼を見ると『怖い』とはじめは怯えるのだ。

"ザンさん"も例に漏れずそのひとりだと思っていたのだが……どうやら違うらしい。

 

「今日も着物綺麗だな」

「…ウン」





【先祖返り】:
ホワイトバック。
顔も体も傷だらけ。
そして背中には一族特有の誰が誰か判別するための刺青が入っている。
見るからに堅気じゃないが、昔からの知り合いとは仲良し。
でもグイグイ来るタイプのザンさんにはタジタジらしい。
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