責任取って。
グローリーゴアは僕によく抱きつく。
それが親友としてのスキンシップと言われたら『そうなのかも…』と納得仕掛けるが、子や孫、果てにはファンや同僚の前でもぎゅうぎゅうと抱き締めてくるのにはさすがの僕も『少しおかしい気がする』と思うわけで。
「ねぇ、グローリー」
「ん?」
逞しい胸筋に頬がぶに…となりながら話しかける。
体格差から膝に乗せられての抱き着きはいつものことで慣れたものだが、今日は少し違った。
「どうして僕に抱き着くの?」
「え?好きだから」
即答である。
グローリーは僕の頭を胸に抱えたままきょとんとしている。
いや、おかしいよね?と僕が言う前に彼は続けた。
「好きな子に抱き着いて何が悪いんだ?」
「いや、その好きって……友だちとしてだよね?」
「は?」
僕の言葉に今度はグローリーがぽかんとする番だった。
そして僕を膝から下ろすと、そのままふたり隣同士で座る形になる。
「…ホントに、そう思ってる?」
「普通はそうじゃない?すごく仲のいい親友同士っていうか」
「僕の情緒ぐちゃぐちゃにしたのはキミなのに?」
「…情緒ときたかァ」
「うん、そう。キミが僕の情緒ぐちゃぐちゃにしたんだよ」
グローリーは少し考えるような素振りをしてから僕に向き直る。
そして僕を抱き寄せて言った。
「じゃあ、僕が今から言うことは冗談でも何でもないからよく聞いてね?」
「……わかった」
「僕は、キミのことが好きだよ」
「…………え?」
「友情じゃない好きなんだ」
「………………マジ?」
「マジだよ」
そりゃあ知らなかったとおどけて見せればムッという顔で睨みつけられる。
「そうでもなきゃあ引き止めたりしないよ」
「…あぁ、」
それはそう、と若い頃を思い出す。
まさか帰ろうとしたら荷物も鍵も取り上げられて、知らぬ間に飛行機もキャンセルされてたのは驚いた。
「ずっと一緒にいる」ってのに頷かなきゃ解放してくれなくて、結構な時間押し問答したっけ。
「キミが僕から離れようとするから、僕は必死に繋ぎ止めようとしたんだ」
「それは……ごめん。でもさ、」
「でも?」
「……いや、なんでもない」
『僕もグローリーのことが好きだよ』なんて言えるわけがなかった。
だって…恥ずかしいもの。
僕だって同じような気持ちだけれど、キミほど素直じゃないし。
なので、
「ん」
「なぁに?」
「ぎゅってして!」
「はいはい」
久しぶりに自分から強請ってみることにしたのだ。
あぁ…やっぱりいい匂いするなあ。
そう思いながらスリスリと擦り寄るのだった。
何だかんだとニコイチで、周りに砂糖吐かせてそう。
本人たちはいちおう普通…にしているつもり。
ちょっと世間一般とは違うかもなと思ってはいますが。