さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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何処にいるの?



神出鬼没にどこからか

ウマ娘-シルバーバレットの行方は依然として知れない。

しかし生きていることは確かであり、彼女の子どもたちから時折「母は元気にしてますよ」との便りが届く。

シルバーバレットは、今もどこかで───。

 

 

シルバーバレットが暮らすそこは、実質隠れ里だ。

シルバーバレットの方から出向かなければ、実の家族だってそう簡単に見つけられない立地に居住しており、それが彼女の祖父が愛しの初孫である彼女の為にと用意したものだというのだから…なんというか。

 

「ただいま」

「……おかえり」

 

帰ってきた彼女を出迎えたのは彼女の子どもの内のひとりだ。

遠にトレセン学園を卒業した子なので、普段は彼女に代わって買い物などを代行している。

彼女としては「いつでもひとり暮らししていいのよ?」と言っているのだけど、「母さんをひとりにしたら心配だから」との返答しかない。

 

「今日のご飯はなに?」

「今日はハンバーグ」

「やった、じゃあ早めにお風呂沸かしておくよ」

 

シルバーバレットと彼女の子どもたちの関係は良好だ。

とはいえ家族愛…というよりは小さな妹(母親)を守る姉兄(子ども)の図だが。

幼い時分のある時からシルバーバレットはほぼ見目が変わらないので、ひとたび外に出れば連れ去られかけたこと幾星霜…。

 

「あ、そうだ母さん」

「なに?」

「……そろそろ父さんが会いたいって」

「……そう」

 

シルバーバレットの耳がぴこぴこと動く。

それは彼女が喜ぶ時の癖だ。

 

「なら、後で連絡しなくちゃね」

 

 

「こんばんは」

 

聞こえてきた清らかな声に小さく息を飲む。

そうして一瞬時が止まっていると自分の名前を心配そうに彼女が呼んだので慌てて返答する。

 

「あの子からね、あなたが会いたいって言ってるって聞いたから」

「あ、ああ。そうなんだ」

 

シルバーバレットが電話をかけたのは彼女の夫のひとりだ。

また彼女からの連絡を待ち一喜一憂するひとりであり、現在はこうしてそれとなく浮かれているのである。

 

「じゃあ、また今度」

「あぁ」

「気合い入れておめかししていくから期待しててね?」

「…あぁ」

 

 

「母さん、気をつけてね」

「父さんがいるから平気よ?」

「まあ、父さんがいる時なら心配しないけどさ、母さんがひとりの時だよ心配なのは」

「母さんだって大人なのよ?」

「それは僕らと一緒にいて妹って呼ばれなくなってから言ってよ」

 

むぅ…と頬を膨らませる母親に青年はため息をつく。

そんなんだからいつも可愛い可愛いって言われるの、分かってなさすぎる…。





母:
シルバーバレット♀。
たいへん過保護に育てられた結果、人里離れたところで暮らすことになったウマ娘。
…全妹たちみたく体格があればまだ何とかなったんスけどねぇ。
なので我が子たちにセコムされながら過ごしている模様。
本人は「独り立ちしていいのに…」と思っているようですが。
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