さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ずっと、俺だけのモノで。



或る望み

目を覚ますとそこには幼なじみである【夢への旅路】がいた。

 

(ええと…。あぁ、そういえば泊まったんだっけ)

 

久しぶりに多めにオフの日をもらったからと、既に引退して久しい【夢への旅路】に会いに行って、僕は帰ると行ったのだけど「危ないから」と引き止められて…。

 

「ん、」

 

隣で眠る幼なじみを起こさないように起き上がって、朝食を作りに行く。

三食キッチリと食べるらしい幼なじみの冷蔵庫は年頃を考えると珍しいぐらいに食材が揃っており、これなら何でも作れる程度には充実していた。

 

「さて、と」

 

冷蔵庫を漁って、朝食を作り始める。

今日は和食にしてみよう。

ご飯は昨日の残りがあるし、味噌汁もすぐ作れる。

卵焼きとウインナーでも焼いて……あとはおひたしとかでいいか。

そんなことを考えていると、後ろから抱きつかれた。

 

「おはよう、【夢への旅路】」

「……ん」

 

寝ぼけているのだろうか?

幼なじみは僕に抱きついたまま離れようとしない。

 

(まぁ……別に構わないけど)

「あ、そういえば色々使わせてもらうけど大丈夫?」

「ん」

「まあ…後で一緒に買いに行こうか」

「ん」

 

…本当に、寝ぼけ眼なんだなあと分かる返事である。

「包丁使うから」、「火を使うから」と遠ざけようにも、離れる様子はなく。

結局、朝食の支度が終わるまで抱きつかれたままであった。

 

「ん……美味しい」

「それは良かったよ」

 

朝食を食べている間も僕にくっついたままで、食べにくかったが……まあ、悪い気はしなかったのでそのままにしていた。

 

(……さて)

 

食事を終えて片付けを済ませると、僕は幼なじみと向き合った。

 

「それで?今日はどうするの?」

「……特には」

「そっか……」

 

それならそれでいいけど。

買い物に行くのは確実として……他はどうしよう、

 

「【夢への旅路】?」

 

か?と思ったのも束の間、ゴロンと引き倒される。

皿、水につけといてよかったなと、そんなことを思う。

 

「ん……」

 

未だお眠らしい幼なじみに抱きしめられながら、うつらうつらと船を漕ぐ。

 

「……」

 

たまにはこういうのもいいかもしれない。

 

(起きたら買い物に行こうか)

 

そんな考えを最後に、僕は再び眠りについたのだった。

 

 

幼いころは、よくこうやって眠ったものだった。

親同士、仲がいいものだから会うついでに歳が近いのもあって一緒に遊んだりした流れで。

泊まることもよくあったし、どこか遠出することもよくあった。

 

「プレアー」

「どうしたの【夢への旅路】?」

 

抱きつけば優しい笑みで受け止めてくれる幼なじみ。

嗚呼、





【夢への旅路】:
【銀の祈り】の幼なじみ。
物心ついた時からずっと一緒なので、無自覚に自分のモノと思っているフシがある。
そのため【銀の祈り】が自分以外と楽しそうにしているとモヤッとするとかどうとか…?
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