仕えている世界線。
サンデースクラッパというウマ娘がいる。
アメリカからの留学生だが、元々は日本生まれなので日本語はペラペラだ。
しかし、
「なんで日本のトレセン学園に来たのか?僕の実力だったらあっちでもやっていけてたろうって?」
単純な疑問があった。
サンデースクラッパはダートを得意とするウマ娘で、その逃げは誰の追随も許さない。
『芝の方が主戦場であれば…』と出会った当初、いや今もなお他トレーナーに嘆かれているのをよく耳にする…ので。
「そりゃああっちでも普通に現地の学園に行けって言われましたし、行ってたら三冠も獲ってたでしょうけど」
「大きく出たなって?…まあ、嫌でもそう思う『事実』があったものですから」
「それに…今はモラトリアムみたいなものなので」
*
物心ついた時から、サンデースクラッパは『お嬢さま』に仕えていた。
一歳下の彼女はそれはまあきかん坊のじゃじゃウマ娘で、大人の言うことなぞひっとつも聞かなかったが…何故か唯一サンデースクラッパの言うことはよく聞いた。
でもその代わりにサンデースクラッパも『お嬢さま』のワガママを日々聞き続け、叶え続けていたのだから仕方のないwin-win…だったのかはさておき。
「すごいです、お嬢さま!」
サンデースクラッパは、『お嬢さま』に基本的に花を持たせた。
勉強でも遊びでも、『お嬢さま』が何かを成せば「流石です」と褒め称え。
逆に危なっかしいことになれば身を呈して庇ったりエトセトラエトセトラ。
だが、───ひとつだけ。
「また私が勝ちましたね、お嬢さま」
走り、だけは。
絶対に手を抜かなかった。
どれほど泣かれ、癇癪を起こされようとも頑なに、だ。
「スーは、私に勝ちたいの?」
「はい」
「どうして?」
「……それは……」
この時はまだ、『お嬢さま』が何を思ってそんなことを聞くのかわからなかった。
・
・
・
「まあ、今となっては何でもかんでも決められたレールを走るのが嫌ってだけだったんでしょうがね」
サンデースクラッパの将来は決まっている。
この学園生活が終われば、この学園に来るまでのように、また『お嬢さま』に仕えるだけ。
『お嬢さま』のことが嫌いなわけではない…が、
「『お嬢さま』の傍を選んだのは僕自身ですけど、…それ以外も何か、自由に決めてみたかったんですよ」
「だから、この学園に?」
「はい」
サンデースクラッパは、『お嬢さま』のことが嫌いではない。
だが、その将来が決まっていることは……少しだけ嫌だったのだ。
【戦う者】:
サンデースクラッパ。
引退後のことがピックアップされた世界線。
自分よりも一歳年下だけど、自分より体の大きなご主人様に毎日振り回れる日々。
でも、『走る』という行為にまつわるものついては何も譲ろうとしない面もあるとか…。