さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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基本重ねられる中で自分を見てくれるのは嬉しいよねって。



重ね合わせず一直線に

デビュー前から、何だかんだファンが多かった。

その理由はまあ、当然のことで親友である父と母父、そのまた父が有名であったからであろう。

つまりは、有名人の二世三世であるからであり、そういった意味で期待されていた…みたいな。

だが、デビュー前から期待されすぎた結果なのかどうかは分からないが、デビューしてからもそれは変わらなかった。

自分の実力を見ている…というよりかは、「○○みたい」のような、○○の部分に己の親族の名前が入る形で、実力とは関係ないところで評価されていた。

とはいえ、それでもファンが減らないどころか増えているのは、やはりネームバリューの強さ恐るまじ、か。

 

「…はぁ」

 

取材とやらも疲れるものである。

親族がみな、引退後よっぽどのことがない限り表に出ないせいか、聞かれることはもっぱら自分から見た親族の話題である。

やれ、この前のレースで何か言われましたかとか、休みはどうしましたかとか、挙句の果てには「○○さんは今どうされてますか?」なんて聞いてくる始末。

そりゃあまあ、確かに親族が親族だからこそ、その身内である自分にも注目が集まることは理解できる。

だがしかし、それにしたって限度があるだろう……と言いたい。

 

「あーつかれた」

 

思わずそんな声が漏れてしまう。

そんな時であった。

 

「あっ!」

 

ふと聞こえた声にそちらを向けばそこには同室である後輩-【飛行機雲】がいて。

「やっと取材終わったんですね!」と駆けてくる姿にどうにも我慢ができず、ワシャワシャとその頭を撫でてしまう。

「うぇ、ちょっ!先輩!?」と驚きの声を上げる後輩に、やっとこさ口角が笑みを形作った。

すると、

 

「先輩、誕生日おめでとうございます」

「あ?」

「え?…先輩、今日が誕生日ですよね?間違ってませんよね?」

「…今日何日だっけ」

 

返答の日付に、「ああそういやそうだっけ」と思い返す。

「ケーキも用意してますからね!」とはしゃぐ後輩に、「そういうのは事前に言ってくれよ」と思わず苦笑した。

 

「事前に言ってたらサプライズじゃなくなるじゃないですかあ」

「そりゃそうだ」

 

まあ、後輩が祝ってくれるというなら、素直に受け取っておこう。

きっとそのケーキとやらも手作りだろうし、ありがたくいただこうじゃないか。

「ありがとな」と告げれば「いえいえ!」と嬉しそうに笑う後輩に釣られて、自分の口角もまた上がるのであった。

 

「でも、太らねえようにしねえとなぁ」

「ふ、ふふふ、太りませんよ!」

「どうだか」

「…もう!」





【銀色の激情】:
シルバアウトレイジ。
求められれば自分のことを話すけど、大体は家族の話を求められるので自分のことは話さないウッマ。
そういう部分の察知能力が高い。
なので自分のことを知りたいと言ってくれる相手に好感度が上がったりなどする。
なので【飛行機雲】の思う以上に【飛行機雲】のことを好いてそう。
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