興味本位。
本人は生徒会庶務だと謙遜するが、実のところ彼女は副会長であった。
現生徒会になる前の、ひとつ前。
まだシンボリルドルフが
今のような、誰からも慕われ頼られるシンボリルドルフではない頃の。
「顔怖いよ〜?」
「うるさい」
ナチュラルに眉間に皺が寄っている猛獣に触れるのは副会長である彼女のみで。
また猛獣が唯一触れさせるのも、副会長である彼女のみだった。
実力で生徒会のメンバーを選ぶなら、お眼鏡に適う者はいたのだけど、その誰もが『生徒会』という組織に縛られるのを厭い、辞退していった。
シンボリルドルフは己の理想のために、その『生徒会』という組織の縛りを許容した。
理想を叶えるための力を、と。
「会長がそんなんじゃ下の子たちが怖がるでしょ」
「……すまない」
「僕に謝ってどうするんだよ。そもそもすまないとも思ってないくせに」
副会長の彼女は、ルドルフが唯一本音を、本性を吐露できる相手だった。
「僕はね?キミの理想も夢も知ってるから、任せられる限りこの仕事をまっとうするつもりだけどさあ」
「うん」
「キミ、『
「……すまない」
「僕に謝ってどうするんだよ。だから、謝る相手が違うだろっての」
彼女はルドルフの理想を叶えるためなら、その道程で自分が犠牲になるのも厭わない。
そんな彼女は唯一、ルドルフに苦言を呈することのできる存在であった。
「僕はね?キミが『皇帝』として君臨するのは良いことだと思うよ?」
「あぁ」
「でも、キミがただのガキであるのもまた良いと思ってる。だってさ、『皇帝』は孤独だろ?誰も彼もに頼られて、誰も彼もを導く存在で。そんな大役、普通は務まらない」
「……私は、」
「だから!そういうとこだよ!」
彼女はルドルフの頭を軽く小突くと、その頭を胸に抱え込んだ。
「僕の前でくらい弱音吐けって言ってんの。僕は…まぁ頼まれてって前提はあるけど一緒にいるんだしな」
シンボリルドルフよりもどこもかしこも華奢な体は、それでいて温かかった。
「キミは『皇帝』である前に、ひとりの人間なんだよ。もちろん僕も」
「……うん」
「僕はね?キミが思うほど完璧じゃないし、強くもないんだよ。だから僕の前くらい弱音吐けっての。でなきゃ僕まで潰れるだろ?」
「すまない」
「僕に謝ってどうするんだよ」
ルドルフの頭をわしゃわしゃと撫でながら彼女は言った。
呆れたように。
「キミの作る世界は、」
僕:
シルバーバレット。
いつか【皇帝】のそばにいた誰か。
ただそれだけ。