さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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おわれない。



終わらない

似たような3年間を何度も繰り返していると気づいたのはいつのことだったか。

些細なことは違っているが大まかなところはいつも同じで勝って勝って勝ち続けて、また戻る。

環状線を回るように、何度も何度も同じところをぐるぐる回っている。

勝つのが当然だと思っていても、幾度となく勝ち続けるというのは。

 

「また負けちゃった」

「ああ」

「でもシルバーと走るの楽しかったよ」

「そうだね。僕も」

 

そんな会話は何度もした。

それでもやっぱり虚しくて、次こそは勝ってくれないかなと思うのだ。

そして考えることはいつも同じだった。

……今度こそ、この周回を抜け出そう。

いつも同じ結果の閉じた世界なんていらない。

そう思っても繰り返すばかりのある時、

 

「なァ、」

 

知らない誰かが声をかけてきた。

それにぼんやりとした目で振り返ると「すまん」と謝られる。

 

「初めは助けようとした。けれどアンタがこうやって幸せに生きている世界を見ると…」

 

目の前の見知らぬ誰かは泣いていた。

でも泣きながら微笑んでいた。

 

「俺、もう無理だ」

 

ありがとう。

楽しかった。

さようなら。

知らない誰かがそう言って消えていって、またループが始まる。

……ああそうか、と思った。

もうこの世界からは、逃げることができないんだな。

 

そう思って、僕はまた目を閉じた。

 

 

彼らは死んで欲しくなった。

初めはその行為を間違っていると、正しい時間に戻そうとした者もいたが繰り返す世界の中で、幸せそうに生きるあの人を見ると決心が鈍ってしまった。

鈍ってしまって、遂には肯定派の者たちの言うように「繰り返す世界を終わらせない」という選択肢を選んでしまった。

一人が覚悟さえ決めてしまえば、それが合図のように次々と『続けてもいい』という声が上がり、いつのまにか『終わらなくてもいい』『終わらないで欲しい』と思う者が増えていた。

しかしそれは長くは続かなかった。

ある者は「海外に行く」という形で世界から抜け出た。

またある者たちは永遠に続く幸せの中で狂っていった。

そして、その全てを見ていた彼は……、

 

「ごめんなさい、ごめんなさい」

 

自分たちと同じように静かに狂ってしまった件のその人に懺悔する。

いつの間にやらこの世界が繰り返していることに気づいてしまったらしいその人は遠に諦めてしまって、彼等の望んだ幸せそうな姿とは掛け離れてしまって。

 

「ごめんなさい、」

 

何度も繰り返して、終わらない幸福をあの人に押し付けてしまったこと。

自分達はきっと地獄に落ちるだろう。

そんな自分たちが受ける責め苦だってきっと、あの人にとっては生易しいものだろうけれど。

 





それが『しあわせ』?
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