さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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そしてまた、焼かれるのか。



塵を愛する

"星"に焼かれたと知っているのに。

その"星"に焼かれた燃えカスを、愛してしまった。

けして自分を見ることのない、燃えカスを愛してしまった。

 

「…」

 

光を塗りつぶされたその瞳は今も"星"を夢見ているのだろう。

その瞳は、今も"星"を夢見て輝いているのだろう。

 

「─────」

 

だから、そんなのは許せない。

そんなものは愛じゃない。

それは自己愛ですらない。

自分が愛したウマが、たとえ自分以外がその事実に気づいていないとしても、そんなものを認めるわけにはいかないのだ。

……だって、報われないではないか。

あの子が愛したものは何の価値もない幻で、誰も彼も救われないなんて間違っている。

……そう、この感情は間違っている。

 

『××!』

 

一目でも、こっちを振り返って欲しかった。

煩わしそうな一瞥だけでもいいから、こっちを見て欲しかった。

───その間違いをただ突きつけるために、この脚は前に進むのだ。

 

「─────」

 

……そうして、あの子は独りになった。

誰もいなくなった暗闇で、あの子はずっと待ち続けるのだろう。

いつか"星"が墜ちてくることを夢見て、独りきりで待ち続けるのだろう。

そんなのは間違っているから。

"星"なんてどこにもないのだから。

……だから、その前に自分が行ってあげないと。

だって、自分はあの子に───。

 

 

"星"を見た。

美しい、"星"を見た。

きっと、一目見れば誰だって焦がれるだろう一等星。

ギラギラ、ピカピカ、煌々。

そう、輝いて。

 

「────」

 

その光に、目を焼かれていくのを感じた。

早く目を逸らさなきゃいけないと思った、が。

 

「────」

 

目を離すことが、出来なかった。

焼き付けたかった。

焼き焦がされるとしても。

この一瞬に、"あの人"の姿を永遠に閉じ込めたかった。

"星"は墜ちてこない。

そんなことは分かっている。

だから、その光に手を伸ばすのだ。

 

 

「あ───」

 

意識が戻る。

自分が何をしているのかを思い出す。

……そうだ、自分は何をしていたんだっけ?

何かとんでもない夢を見ていた気がするが、よく思い出せない。

……まあ、思い出せないということはきっと大したことじゃないんだろう。

そんなコトより今はもっと重要なコトがあるし、そっちを先に片付けないと。

 

(はやく、諦めればいいのに)

 

いつも通りにトレーニングしようとする自分を止めてくる誰かにそっとため息をつく。

一日でもトレーニングを休んだら、その分あの"星"から遠ざかってしまうのに…。

 

「はぁ、」





塵と言っても火の粉ですので。
触れたそこから火がつくような。
そんな。
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