自分の手で捕まえました。
グローリーゴアがそのトレーナーを捕まえたのは"偶然"であった。
トレセン学園内を歩いていた、見ようによってはエレメンタリーぐらいの年齢に見える彼女が、正真正銘の大人であり、そしてトレーナーであるなどと分かる人間は、きっとグローリーゴアだけであったろう。
「僕のトレーナーになれ」
初対面の彼女の手を、力いっぱいに握ったグローリーゴアは、開口一番そう告げた。
有無を言わさぬ命令口調で、約束された強者としての圧を存分に目の前の存在だけに向け。
「え、えぇ……?」
がしかし。
彼女は、困惑の表情でグローリーゴアに握られた手と顔を交互に見ていた。
それはそうだろう。
初対面の生徒が、急に現れて自分のトレーナーになれなどと言われれば誰だって困惑する。
だがしかし、グローリーゴアには確信があった。
この出会いこそが『運命』であると。
そして自分はこの『運命』と共に頂点に立つのだと、そう信じて疑わなかったのだ。
「僕は……いや」
そこでグローリーゴアは言葉を尽くそうとするも、荒れ狂う心に言葉を焼き尽くされて。
ええいままよと言うように、「えっ?」と困惑の声を上げる彼女を連れ去ったのであった。
「よかった、よかった。なってくれるのか」
それから。
見事、グローリーゴアは件の彼女にトレーナーになってもらうことに成功した。
説得は困難を極めたが、自他ともに認める自身の美貌をフル活用して、なんとか彼女を頷かせることに成功したのである。
「君の名前は?」
「えと……███です」
「そうか、いい名前だ!僕の名前は知っているだろう?そう、グローリーゴアだ!」
「は、はい……」
困惑の表情を浮かべる彼女ではあったが、しかし彼女は間違いなく自分のトレーナーになったのだ。
これでもう何も問題はない。
あとは頂点を目指すだけ……であるのだが。
「……それであの」
そこで彼女がおずおずと手を上げた。
「僕、この国出身のトレーナーじゃないんだけど…大丈夫、なのかな?」
*
グローリーゴアというウマ娘に捕まったのは単なる偶然であった。
こちらの大学でトレーナーになるために勉強していて、そのインターンとしてトレセン学園にやってきたら捕まえられた。
はじめは上記のことを理由に断ろうとしたが、しかし彼女はどうしてもと食い下がってきた。
「キミがいいんだ」
「どうして?」
「僕がキミを選んだんだ、それ以外に理由は必要かい?」
自信満々にそう言い切るグローリーゴアの圧(と周りからの『お願いします』オーラ)に負けてしまったのである。
そしてなんだかんだでトレーナーとして契約してしまったが……。
「本当に良かったのかな……」
「なにがだい?」
思わず独り言を呟いたら、それを耳ざとく聞きつけたグローリーゴアが首を傾げた。
「いや、なんでもないよ」
慌ててブンブンと首を横に振れば、「今度の祝賀会のドレスを取りに行こうか」と手を取られる。
「また、作ったの?」
「あぁ。今回のもキミに良く似合うと思うよ」
「…はぁ」
【栄光を往く者】:
グローリーゴア。
文武両道で将来を期待されるが如何せん気難し
ある日突然、「この人トレーナーにします」とインターンの子を連れ帰ってきたかと思えばそのままトレーナーにしやがった!
でも無敗でグランドスラムした。
また件のトレーナーによく貢いでおり、パーティーなどがあると自分の贈ったもので全身コーディネートさせたトレーナーをそばに置いているという。
件のトレーナー:
日本人女性。
黒よりの灰色の髪に銀灰色の目を持つ。
小柄で華奢なので【栄光を往く者】と並ぶと本当に小さい。
気難しい【栄光を往く者】を唯一いい感じに操縦できる女。
なお未来は…ハイ。