さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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自分の手で捕まえました。



『運命』…かな?

グローリーゴアがそのトレーナーを捕まえたのは"偶然"であった。

トレセン学園内を歩いていた、見ようによってはエレメンタリーぐらいの年齢に見える彼女が、正真正銘の大人であり、そしてトレーナーであるなどと分かる人間は、きっとグローリーゴアだけであったろう。

 

「僕のトレーナーになれ」

 

初対面の彼女の手を、力いっぱいに握ったグローリーゴアは、開口一番そう告げた。

有無を言わさぬ命令口調で、約束された強者としての圧を存分に目の前の存在だけに向け。

 

「え、えぇ……?」

 

がしかし。

彼女は、困惑の表情でグローリーゴアに握られた手と顔を交互に見ていた。

それはそうだろう。

初対面の生徒が、急に現れて自分のトレーナーになれなどと言われれば誰だって困惑する。

だがしかし、グローリーゴアには確信があった。

この出会いこそが『運命』であると。

そして自分はこの『運命』と共に頂点に立つのだと、そう信じて疑わなかったのだ。

 

「僕は……いや」

 

そこでグローリーゴアは言葉を尽くそうとするも、荒れ狂う心に言葉を焼き尽くされて。

ええいままよと言うように、「えっ?」と困惑の声を上げる彼女を連れ去ったのであった。

 

「よかった、よかった。なってくれるのか」

 

それから。

見事、グローリーゴアは件の彼女にトレーナーになってもらうことに成功した。

説得は困難を極めたが、自他ともに認める自身の美貌をフル活用して、なんとか彼女を頷かせることに成功したのである。

 

「君の名前は?」

「えと……███です」

「そうか、いい名前だ!僕の名前は知っているだろう?そう、グローリーゴアだ!」

「は、はい……」

 

困惑の表情を浮かべる彼女ではあったが、しかし彼女は間違いなく自分のトレーナーになったのだ。

これでもう何も問題はない。

あとは頂点を目指すだけ……であるのだが。

 

「……それであの」

 

そこで彼女がおずおずと手を上げた。

 

「僕、この国出身のトレーナーじゃないんだけど…大丈夫、なのかな?」

 

 

グローリーゴアというウマ娘に捕まったのは単なる偶然であった。

こちらの大学でトレーナーになるために勉強していて、そのインターンとしてトレセン学園にやってきたら捕まえられた。

はじめは上記のことを理由に断ろうとしたが、しかし彼女はどうしてもと食い下がってきた。

 

「キミがいいんだ」

「どうして?」

「僕がキミを選んだんだ、それ以外に理由は必要かい?」

 

自信満々にそう言い切るグローリーゴアの圧(と周りからの『お願いします』オーラ)に負けてしまったのである。

そしてなんだかんだでトレーナーとして契約してしまったが……。

 

「本当に良かったのかな……」

「なにがだい?」

 

思わず独り言を呟いたら、それを耳ざとく聞きつけたグローリーゴアが首を傾げた。

 

「いや、なんでもないよ」

 

慌ててブンブンと首を横に振れば、「今度の祝賀会のドレスを取りに行こうか」と手を取られる。

 

「また、作ったの?」

「あぁ。今回のもキミに良く似合うと思うよ」

「…はぁ」





【栄光を往く者】:
グローリーゴア。
文武両道で将来を期待されるが如何せん気難し()()()ウマ娘。
ある日突然、「この人トレーナーにします」とインターンの子を連れ帰ってきたかと思えばそのままトレーナーにしやがった!
でも無敗でグランドスラムした。
また件のトレーナーによく貢いでおり、パーティーなどがあると自分の贈ったもので全身コーディネートさせたトレーナーをそばに置いているという。

件のトレーナー:
日本人女性。
黒よりの灰色の髪に銀灰色の目を持つ。
小柄で華奢なので【栄光を往く者】と並ぶと本当に小さい。
気難しい【栄光を往く者】を唯一いい感じに操縦できる女。
なお未来は…ハイ。
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